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2010年 03月 05日
記憶色という言葉が写真、印刷業界では使われます。 よく例に出されるのが、桜ソメイヨシノの花の色のことです。 本当の色は白に近いのですが、人々の記憶にあるのは淡いピンクなので印刷物を作るときはマゼンタの成分を加えてピンクにするというものです。 人々が持っている期待の色、期待色といういいかたもできるでしょう。 桜の花以外では紅葉、青空、人の肌、新緑などがあげられます。 紅葉はじっさいはエンジに近いくすんだ赤であっても、錦秋という言葉にふさわしく、真っ赤だと記憶しているので、印刷物では鮮やかな色彩が求められます。 青空も同様です。昨今ですと真っ青な空という撮影条件にあたることはめったにありません。 白く霞みがかかったような水色のような空が本物なのですが、期待されるのは抜けるような青空です。 乾いた地中海とかカリブ海のような空の色を日本の空にも求めるわけです。 この記憶色、いわば業界用語だったのが、デジタルカメラとレタッチソフトの普及で一般の方にも知られるようになりました。 2月28日付けの日経 裏読みWAVEのタイトルは「桜の色は年々濃くなる」でした。 桜の写真コンテストの応募作は本来の色より赤みが強いものが目立つそうです。 記憶している色をレタッチソフトで表現しやすくなったことが一因としています。 あるメーカーの担当者が「デジカメ登場前後からより鮮やかさを志向し始めた」という。とあります。 カメラメーカーには「桜が白く撮れてしまう」という“苦情”も届くそうです。 記憶色と現実の色との差を認識できなくなっている人が増えているということでしょう。 元々ストックフォトの写真の基本は「明るくすっきり」というものです。 自然の鮮やかさをそのまま表現しているように見せますが、見栄えをよくするためにフィルターを駆使したり演出を施すという、いわば“ヤラセ”の産物です。 もちろん、撮影に最適な条件を選ぶ、あるいは作り出すという苦労が前提ではありますが。 この苦労により作り出した色鮮やかな写真こそが、アマチュアの“そのまんまの写真”と大きく異なっているところでした。 ところが、アマチュアの世界でもレタッチで色に手を加えるということが広がっているのです。 それではコマーシャル用途のストックフォトはどうすれば良いのでしょうか? もっと鮮やかに期待以上の色を出すことでしょうか?あるいはフェイク(にせもの)だけど、いかにも手は加えていないような自然っぽい画像でしょうか? どちらにしても、アマチュアと同じ土俵で戦わなくてはいけないようになった、ということは間違いなさそうです。
by mixa_suwa
| 2010-03-05 09:25
| ストックフォト
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