カテゴリ
以前の記事
ブログパーツ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2011年 07月 25日
リクルートが発行するフリーペーパー「R25」に隔週で掲載されるエッセイ「結論はまた来週」。
力の抜け具合が絶妙で笑わせてくれます。 今日、紹介するのはその著者ノンフィクション作家の高橋秀実(たかはしひでみね)の「からくり民主主義」です。 メチャクチャおもしろいです。 マスコミに大きく取上げられたニュースを、少し遅れて丹念にルポルタージュしたものです。 諌早湾干拓問題、沖縄米軍基地問題、若狭湾原発問題−日本の困った問題10件を取上げています。 出版社の紹介はこちら。http://www.shinchosha.co.jp/book/133554/ どの問題も、マスコミが報道するように賛成派と反対派が激しく対立する、というような分かりやすい構図にはなっていないことを教えてくれます。 それも本当のことはこうだぞ!などと肩に力を入れるのではなくて、そこに住んでいる住民に取材を重ねると、こんがらがって複雑になっている現実を独特のユーモアあふれるタッチで綴っています。 世の出来事は、いろいろな立場の人がさまざまな意見を持って、複雑に利害がからみあって、何が正しくて何が間違っている、とは簡単にいえないことが理解できます。 こう書くと固苦しいことが書いてあるように思われてしまいますが、公式見解とは違う地元住民の本音は、別に笑わすために喋っているのではないでしょうが、まさに抱腹絶倒です。 身も蓋もない、この表現がぴったりの発言の多いこと。 笑うことは不謹慎だと思いながら、電車の中で笑いを堪えるのは大変でした。 それぞれの問題には、それぞれの立場の人がいて、さまざまな意見がある、という考えれば当たり前のことを改めて気づかさせてくれました。 この本を読んでひとつの出来事を思い出しました。 実家の近くにラムサール条約にも登録を申請されようとしている貴重な干潟があり、その埋め立てを巡って反対が起っているというニュースでした。 その地で11歳から19歳まで住んでいましたが、そんな貴重な干潟が実家と同じ区内にあるとは知りませんでした。 このニュースを聞くまでは親兄弟、同級生との会話にこの干潟の話題が一度も出たことはありません。 ところがテレビでは連日の埋め立てに反対する抗議行動が放映されています。 干潟は渡り鳥の貴重な餌場であるだけでなく、工場排水を浄化する能力にも優れていると環境の面からも保護の必要を番組は訴えていました。 実家に帰ったときにこの干潟を見に行きました。誰もいませんでした。 さぞや住民の間ではこの話題でもちきりかと思い父親に尋ねると、地元の人間はほとんどが無関心。 「反対運動は他所から来た運動家が勝手にやっとるんだわ。 干潟の埋め立てはいかんと云っても、ほとんど埋め立てはとうの昔に終わってしまい工場が建っている。 残っているのは、ほんとうにごく一部、今更、あんな狭いところを残してどうもならんだろう。 渡り鳥の餌場が無くなる?鳥は翼がある。どこへでも好きなところに飛んでいく。人間が心配せんでも餌は自分で探すわ。」 と身も蓋もないことを言うのでした。 環境意識の低いオヤジだとは思いますが、地元住民の本音です。 つまりマスコミで報道されるニュースは、ある側面だけを捉えて、見栄えが良く分かりやすく編集されたものであるということです。 こういう大切なことを笑わせながら教えてくれる「からくり民主主義」お薦めです。 詳細はコチラ
by mixa_suwa
| 2011-07-25 09:50
| 神楽坂日記
|
ファン申請 |
||