カテゴリ
以前の記事
ブログパーツ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2012年 01月 27日
さて、前々回にお伝えした、自治体の観光局が無償で風景写真を提供する件の続きです。
これは風景カメラマンとフォトエージェンシーにとって、どのように考えればよいのか。 このことについて、考えてみたいと思います。 無償で写真を配信することは、昨今いくらでもあります。 カメラ好きのアマチュアが、自分で撮影した写真をダウンロードさせることもあれば、プロの写真家が、依頼撮影の広告宣伝のために、手持ちの写真を配信することもあります。 こうした行為に対して、苦々しく思ったとしても、自由競争の資本主義下では致し方ありません。 自分の著作物をどのように扱おうが、著作権を占有している著作者の勝手ですから。 ストックフォトエージェンシーも客寄せの一手法として無償で提供することはよくあります。 それを、競合他社がおもしろくないと思おうが、私企業の経済活動の一環なのですから、なんら非難される筋合いのことではありません。 業界の秩序を乱したとか、競合他社の既得権を侵したとして批判されることはあっても、法的にも問題にならないでしょう。 しかし、自治体の観光局が無償で写真を提供することは、上記と同列で考えることができるのか?問題はここにあります。 営利を目的としない地方自治体が、税金を使って民間企業のビジネスと競合する商品を作り、無償で配布する。 前回も書きましたが、これは民業圧迫であることは間違いありません。 ただし、風景写真家、フォトエージェンシー業界にとっては、という但し書きが必要になります。 そもそも、自治体の観光局が、何の目的で無償で写真を使用させるのか、ということを考えてみましょう。 いうまでもなく、その地域の観光客を増やして、地元を活性化しようという観光振興のためです。 税金の使い道としては、おかしいと非難されるものではないように思います。 それでは、無償の写真を入手することによって、誰がメリットを得るのでしょうか。 直接的には、旅行会社と旅行パンフレットやサイトを制作するプロダクションです。 間接的には、宣伝媒体が増えることによって観光客が増え、その自治体のある観光関連業者と地域経済となります。 だったら、文句をつけることはできないのか? 違う業界の例をあげます。 クールビズが環境省から提唱されたときに、ネクタイ業界から死活問題になるから止めてくれと陳情がありました。 結果は、ネクタイの売上は35%程度落ち込みましたが聞き入れられることはなく今日に至っています。 ネクタイ業者の損失よりも、国全体で得られる利益の方が大きいと判断されたということになるのでしょうか。 もう一例。昔、川に橋を架けようとすると、渡し船の業者が「ワシらの仕事を奪われる」と工事の邪魔をしたという話を聞いたことがあります。でも、渡し船の業者の意向を汲んで工事が中止され、橋は架からなかった、とはなりません。 例えが適当かどうかは分かりませんが、話題にしている自治体が提供する無償の写真も上記の例と同じなのではないかとも思えます。 つまり、個々の業者、業界の損失よりも公共の利益が大きければ、それは仕方のないことだ、という考えです。 ただし、第三者の立場で見ればそのように思えたとしても、割りを食う業者としてはそんな悠長なことは言っておられません。 死活問題になるなら、こぞって反対して、無償で提供しないように陳情すべき、だとも考えられます。 なんとも歯切れの悪い文章になってしまい申し訳ありません。 結局、風景写真家にとっては死活問題であっても、社会全体の利益から考えればやむを得ない、というのが大方の判断になるのかもと思います。 しかし、うーん、正直なところ、割りを食う業者としては、そんなもの分かりの良いことをいっている場合ではないと一方では思うのも事実です。 この風景写真家の受難について、みなさんも考えてみてください。 詳細はコチラ
by mixa_suwa
| 2012-01-27 09:50
| ストックフォト
|
ファン申請 |
||