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2012年 10月 12日
ストックフォトの単価が落ちてゆき止まるところを知りません。
この原因は何だろうなと考えます。 ある業者Aが価格破壊を行い、それに連れてダンピング合戦が起こるようになった、と考える人がいます。 安売りで業界秩序を乱す元凶はA社だ!との恨み節はよく聞きます。 ミクロ的な現象から判断すると、このようにある企業の行動に原因を求めることも可能ですが、もう少しマクロ的に見てみましょう。 何度も書いていることですが、ストックフォトの価格下落は、商品の性格が変ってしまったことに原因があると思われます。 以前、レンタルポジの時代はストックフォトは印刷業界グラフィックデザイナー向け、つまりクローズドマーケット用のニッチ商品だったわけです。 供給は少なく、需要はたくさんある、という恵まれた環境のなかで高価格を維持できました。 それが、デジタル+ネット環境の時代になり、オープンマーケットで販売されるコモディティ商品(日用品)に変わりました。 コモディティ商品になると、何が起こるのか?というと供給過剰と価格破壊です。 ストックフォトも例外ではなかった、ということですね。 では、なぜ特殊な商品がコモディティ商品となるのか? デジタル+ネットが第一の要因であることは、繰り返し述べてきました。 しかし、これはある側面(技術の進歩)から見ただけであって、すべてではありません。 商品の価格に関する考え方が変ってきたことも大きな原因だと思われます。 それが、今日の本題となるコスト主義とバリュー主義です。 コスト主義とは、主に製造側の理屈、その商品を作るのに原材料がこれだけ、製造コストがこれだけ、それに利益を加えたものが販売価格だというものです。 以前のストックフォトもこのような理屈で価格が決まっていました。 撮影に係る経費に写真家の利益、それにエージェンシーの利益を乗せて回転率で割ると、大体ポジ1点の貸出価格は30,000円くらいになるというものです。 分かりやすく説明するために大雑把に書きますが、ポイントは撮影する側の都合で価格が決定していたということです。 バリュー主義とは製造する側の理屈ではなく、買う側の理屈で価格は決まるというものです。 買う側(一般的には消費者)が買いたい値段が価格であり、製造する側の理屈は関係ありません。 こうした考えはアメリカでは消費者運動と呼ばれ1970年代に浸透しました。 日本ではダイエーの故中内社長が安売り革命として提唱して広がってゆきました。 ストックフォトも、印刷業界向けの特殊な商品から、誰でもが利用するコモディティー商品に近くなったときに価格の考え方も変ったのです。 この風景写真を撮影するのにロケハンして、天気待ちを3日したんだから、これくらいの価格で売ってくれなければ採算に合わないよ、という理屈が通ったのが以前でした。 今は、写真家がどれだけのコストをかけたかは知らないよ、僕はこれくらいの値段でなきゃ買わないよ、という考えが支持されるようになったのです。 マーケットの論理とはこのようなものです。 市場が価格を決めるとは、価格は買う人が商品にいくらの価値を見出すかによって決まるということです。 ですから、1点1000円で販売して、どうやって写真家は食ってゆくのだと腹を立てても解決にはなりません。 1000円でしか買ってもらえないのであれば、どうやってコストを500円以内に抑えるかを考えなくてはなりません。 これは言うは易し、行うは難しです。 こういう環境のなかで、生き残りをかけて戦わざるを得ない、という覚悟が求められます。 と、いつも同じのまとめになってしまいました。 辛気臭い話しばかりで申し訳ありません。次回からは、もう少し夢の持てるような話を心がけます。 ちなみに今日の写真は、自分の足元を見つめ直すということです。 見つめてばかりいても、解決にはならないか…、という愚痴はやめておきます。 詳細はコチラ! http://www.de-con.jp/media/package/XAMIL
by mixa_suwa
| 2012-10-12 09:42
| ストックフォト
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