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2013年 04月 22日
先月までNHKで放映されていた上戸綾と飯島直子が主演のドラマ「いつか陽のあたる場所で」ご覧になりましたか?
乃南アサの原作は、わが家の課題図書だったので、思わず見てしまいました。 今日、ご紹介するのは同じ作者の、「ニサッタ、ニサッタ(上)(下)/講談社文庫」です。 大きな本屋さんでは平積にされているベストセラーです。 出版社の紹介はこちらです。 http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2157233 乃南アサといえばミステリーと思い浮かびますが、この小説はミステリー仕立てではありません。 腰巻にある「現代日本で働く若者をリアルに描く長編小説」とあるように、どこにでもいそうな主人公の誰にでもおこりそうな悲惨な身の上話しです。 キャッチコピー「何も悪いことなんかしていないのに、どこまで転げ落ちるのだろう?」は、主人公だけでなく希望するような職に就けない多くの若者の叫びに聞こえます。 正直なところ、読んで楽しい、読後爽やか、という内容ではありません。 パッとしなくて、あまり魅力を感じない主人公はどこにでもいる、特別優秀でもなく悪いわけでもなく、少し要領の悪い普通の若者です。 こうした若者が直面する厳しい現実を、物語として提示しているといった趣です。 現代日本が抱える矛盾のはざまで、もがき苦しむ人たちの実態をほんの少しだけ理解できたような気がしました。 このブログを書いていたら、隣の席でキーボードを叩いている社員とこの主人公が被ってしまいました。 経済的に困窮して新聞配達で住込みで働いた経験、お父さんが家族から離れていってしまったところ、お父さんと接点があるのは息子だけで母親、娘とはコンタクトなしという家庭環境などよく似ています。 彼の話しを聞くと、この小説に書いてあることはリアルですね。 彼の体験とほとんど差はありません。 もう一人退職した社員のことも思い出しました。 深く考えることもなく、たいした理由もなく簡単に仕事をやめてしまい、職を転々とする人物です。 キャリア形成のためには、多少嫌なことがあっても腰を落ち着けて働け、とアドバイスしましたが、私の言葉に耳を貸さずに就職活動を続ける日々だと聞きました。 あいつもどうなっていくんだろう、と心配になりました。 このふたりのことを考えていると、この小説の主人公は、ほんとに身の回りにいくらでもいるのだ、と感じました。 ほんのちょっとしてキッカケで、彼らがこの小説の主人公のように転がり落ちたかもしれません。 人ごとではなく、かく語る私もです。 そう考えると、今の安定は単にラッキーで運が良かっただけのような気がしてきました。 それが、ちょっとした運が悪いと、ここまで転げ落ちるのでしょう。 些細なキッカケで転がり落ちる、こういう社会ってどうなんだろうと思います。 私は新自由主義的な発想をする人間ですので、起こったことの責任は当人にしかない、つまり自己責任だと考えがちです。 しかし、当人の責任、努力だけでは解決できない問題もあるのだろう、社会全体でバックアップする仕組みを作ることも大切なのかも、と珍しく社会民主主義的な発想をするのでした。 詳細はコチラ! http://de-con.mixa.jp/media/package/XAMIL
by mixa_suwa
| 2013-04-22 09:30
| 神楽坂日記
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