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2013年 09月 20日
タイトルにだまされてしまいました。
今日、ご紹介するのは「住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち 川口マーン惠美/講談社+α新書」です。 著者はドイツ在住30年の女性。日本とドイツの生活を比較して、こんなところが日本はよい、ドイツのここが好きという主婦感覚の軽いエッセイ集だと思いました。 帯のキャッチも「不便で窮屈なドイツ…日本人は世界一の楽園に住んでいた!」です。 誰でもそう思いますよねえ。 私がヨーロッパ在住の知人から聞く話しは、生活の便利さ、品物の豊富さ、食のおいしさで比較すると日本が圧倒するというものが多いです。 海外で暮らしてみると、日本ほど生活のしやすい国はない、と印象を持つという話しをよく聞かされます。 そうした知人体験を裏付けるようなエピソードが並んでいるんだろう、と買い求めたのでした。 出版社からの紹介はこちらです。 http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=272814 ところが、最初の章は尖閣諸島を訪問するエピソードから始まり、そこから領土に関するドイツと日本の対応の違いへと話しは展開します。 おや?お気楽主婦の日独比較を楽しむのではないのか、と思いこみ違いに気付きます。 第2章は「日本のフクシマ、ドイツの脱原発」これもドイツでの福島第一原発事故の報じられ方と反応を批判的に報告しています。 あらら、女性はエコ好きで環境先進国ドイツを礼賛するかと思っていたら…、意外。 第3章は日独の労働に対する考え方の違いと移民政策についての厳しい見方、という具合です。 暮らしてビックリ、ドイツと日本はこんなにも違うという話しではなくて政治、社会問題の日独比較と固めの内容が中心です。 だまされたと書きながら、この本を紹介するのは、内容が一読以上の価値があるからです。 著者、川口マーン惠美さんはひとことで言えば保守、それに現実主義者(リアリスト)ですね。 脱原発のエコで先進的というように語られることの多いドイツの実態を事実を元に厳し目に書きます。 その姿勢はすべての章に貫かれていて、かなり辛めに両国の状況を紹介、比較しています。 表層的なトピックスを取上げるだけではなく、ドイツのここは素晴らしいが問題は山積、日本はここが問題だがここは素晴らしいと説得力のある文章が続きます。 ドイツにも厳しく、日本にも厳しい、とてもフェアだなと感じます。 ドイツも日本も、「永遠の加害者」で、たくさんお金を出しても、たいして感謝されていない、という指摘は認めたくないけど厳然たる事実ですね。 ドイツはEUにたかられ、日本はアジアにたかられ続けるが、両国には反論のチャンスはほとんどない、との指摘もしかりです。 領土を守るには実効支配し、それを裏付ける軍事力が必要と歴史が証明している、との指摘も同様です。 耳障りはよろしくありませんが、その通りなんだろうな納得させられてしまいます。 机上の空論を排し、実体験と事実から得られた意見なんでしょうね。 ドイツのしたたかさは学べ、ドイツの失敗は反面教師とせよとのアドバイスと受け取りました。 まあ、ライトサイドのご意見なので抵抗を感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、ドイツとの比較で考える日本を学ぶのもよいでしょう。 それでタイトルです。8勝2敗ではありませんね、内容からすると6勝4敗がいいとこかと。
by mixa_suwa
| 2013-09-20 09:30
| 神楽坂日記
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