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2015年 12月 25日
アメリカグラフィックデザイン協会(AIGA)が東京五輪のエンブレムが公募方式で行われることについて、デザイナーのただ働きにつながると指摘して、再考を求めるように書簡を送ってきたそうです。
ハフィントンポストの記事はこちらです。 http://www.huffingtonpost.jp/2015/12/11/aiga-tokyo-olympic-emblem_n_8790812.html 前回の不正事件を受けて、広く一般に門戸を開放したところ、プロのグラフィックデザイナー集団からクレームを受けた、ということです。 問題とされているのは、公募方式はスペックワークになるからです。 スペックワークとは聞き慣れない言葉ですが、「speculative work(投機的な仕事)」であり、支払が未確定なコンペ形式の仕事を指すと記事は伝えています。 AIGAの指摘は、プロのグラフィックデザイナーの立場からすれば当然のものです。 オリンピックという大きなイベントであり、クレームがアメリカの団体であるから注目を浴びますが、同様の話しは国内でもよく聞きます。 自治体が募集するデザイン料の支払いがあまりに安いうえに、条件がデザイナーに不利なものが多いと問題になることです。 今回のオリンピックでは採用されれば100万円が支払われるが、ロイヤリティーは発生せず権利譲渡となります。 採用されなければ一円の対価も支払われません。採用される確率は応募総数から考えると、恐ろしく低くなります。 ということは、ほとんどの方はただ働きになる、ということです。 デザインを生業とするプロからすれば、こういった仕事は到底許容されるわけがありません。 また無償も問題ながら、採用されても得られる報酬があまりに少なすぎます。 高倍率の競争を勝ち抜いて得られる対価が8万ドル程度と知ってAIGAは驚いたのでしょうね。 では、どうして安価な公募方式になっているのでしょう。 ひとつは採用されることは名誉なことであるから、お金は問題ではない、と思われたのかもしれません。 エンブレムのデザインはお金儲けのための仕事ではなく、学生の絵画の発表会と同じような位置づけなのでしょう。 つまり、このエンブレムデザインは実績のあるデザイナーが競う場ではなく、新人発掘のための場というように捉えられたということです。 これのよって知名度が上がり、今後の仕事に大きな影響を与えるので安くとも構わないのです。 もうひとつは、デザインというか著作物の価値を発注する側が理解できていない、ということです。 企業のロゴ、マークを作成するのに、少し前まではそれなりの費用がかかりました。 デザインは単純に見えても、それを生み出すまでには、その企業の歴史、経営者の思いを理解してデザインに落とし込むという作業は、大変な時間と労力、それに技量が必要とされるからです。 プロの仕事とは、培ってきた技量を発揮するものですから、アマチュアが片手間の作業とは違い、それ相応の対価とならざるを得ません。 ところが、そうしたプロセスをすっとばして、こんなものパソコンで作れば数時間で出来ると思われてしまいます。 プロの仕事の価値が認められない、ひとことで言うとこういうことです。 結局、デザインなんてさほど難しいものではないから、たくさんの人に門戸を開放したほうがいいだろう。 大した仕事でもないし、公のために行うことだから、お金のことでうるさく言われることもない、ということでしょうね。 しかし、この公募方式を採用したというのは、今の著作物に対する世間の認識を反映しているのでしょう。 著作物を作成するのにプロもアマもない。プロの仕事に大した価値はない。コンテンツはただ。 こんな一般的な認識が採用する側にもあるように思えます。 うかちすぎですか?
by mixa_suwa
| 2015-12-25 15:36
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