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2016年 10月 31日
「男料理はうまい。なぜなら採算を無視するからだ。」
若かりし頃、強烈に恐ろしい上司が私たちを前に言い放った言葉です。 怖い上司は、料理は高尚な趣味になる、くだらないことで休日を過ごすなら美味しいカレーを作ってみろ、という要らぬお世話を焼くのでした。 冒頭の発言は趣味というものの本質をよく表しています。 女性が家事として料理をする場合、家計を第一に考えてしまいがちですし、忙しければ手間がかからないことを優先するでしょう。 また飲食の仕事なら、材料費は価格の30%に抑えようとするでしょうし、できるだけ効率よく仕事を進めようとするのが当然です。 それが、趣味のとしての男の料理であるなら、おいしいためには材料に糸目は付けないし、手間だってかけてしまう。 結果、男料理はうまい、となる。こんな理屈ですね。 お話し変わって、風景写真の第一人者が語ったことです。 「風景写真でプロはアマチュアには勝てないよ。まったく採算を考える必要がないからね。 風景写真の場合、天気次第ということになる。 アマチュアはいくらでもよい条件を待っていられるし、失敗しても何度でも来て撮影機会を待てばいい。 でもさプロはそういうわけにはいかないよ、取材費も納期も決まっているから与えられた条件の範囲で頑張るしかない。」 つまるところ、素人の趣味は採算とは無関係だからいい写真が撮れる、といいたいのです。 なぜ、こんなことを書くかというと、最近アマチュアの趣味がプロの仕事の領域を犯しているからです。 アマチュアの風景カメラマンが趣味で撮影した写真がストックフォトで販売されるようになり、プロの撮ったストックフォトに影響が出ています。 趣味のものですから、元々お金にすることは考えていなかったものです。 それが安価であってもお金になるなら、小遣い稼ぎとしては悪くありません。 この安価で販売される、採算を無視した良質のコンテンツがプロの仕事を苦しめるのです。 料理も同じことが起こりうるかもしれませんね。 もちろん業として行うには調理師免許もいるし届出も必要ですが、友人をもてなすだけとなるとセーフでしょうね。 そこで、材料費が60%になって時間をかけようが趣味の延長であれば、やる方はいるんじゃないでしょうか。 料理を振る舞うことが大好きで、楽しくてたまらない。お金は材料代負担してくれれば構わないという人です。 これって民泊と同じ理屈ですね。 もちろん民泊は趣味ではありませんが、業として行うのではなく、個人が個人をもてなすという行為の延長にあります。 まあ趣味の延長みたいなものです。 この民泊によって、既存の旅館、ホテルが影響を受けているのは先のブログでも書きました。 ドライブが好きだ、運転が好きだ。趣味のドライブの延長で白タクをやってしまおうと考える人もいるでしょう。 つまり、アマチュアの趣味がプロの仕事を奪ってゆくことが増えるのではないか、ということです。 旅行のツアーガイドなんかもそうでしょうし、趣味の延長で家事代行ということもあり得ますね。 この趣味の延長ビジネス、いろんな方面で出てきそうです。要注目。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-31 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 28日
NHKスペシャル マネーワールド 資本主義の未来 第1集 世界の成長は続くのか が10月9日に放映されました。
興味深い番組でした。ご覧になりましたか? そのなかでシェリングエコノミーの代表とでもいうべきairbnb(エアビ―アンドビー、略称エアビ)が取り上げられていました。 フランス・パリでは旅行者の多くがエアビを使い、安い、便利だと高い評価を与えていました。 その一方で既存のホテルはお客が減少し、取り上げられていたホテルでは売上が20%減となり、長年勤めた従業員2名を解雇せざるを得なかったと嘆いていました。 半年前の日経新聞にパリのホテル業界の人が来日し、エアビの影響でパリの小さなホテルの60%が廃業に追い込まれた、日本でも同じことが起こりうるから、絶対に進出を阻止せよと語ったと報じられていました。 私は年齢のせいか、守旧派というかアナログ派ですので、既存ビジネスで生計を立てている人と家族のことを思うと、この方のいうことも一理あると思いました。 既得権にしがみつくと批判されようが、その既得権で暮らしを立てている人のことも考えなければならないのではないか、という立場です。 しかし、エアビのことを調べてみると、実に魅力的です。機会があれば利用したいと思うようになりました。 価格は圧倒的に安いし、インテリアも魅力的な物件があるし、それに望めば地元の人とも交流が深めることができます。 宿泊者からすれば、既存のホテルや旅館を使わなくなってゆくのも無理ないと思うようになりました。 使わないというのは極論ですが、エアビの民泊の方に魅力を感じる人は多いでしょう。 もちろん、富裕層が泊まる旅館、ホテルは価値を保つでしょうが、低予算で旅行を楽しみたいという層は民泊に流れるのは仕方ありませんね。 これからはホテル、旅館を利用するというのは、民泊を知らなかったり、ITリテラシーのない人ということになるのでしょう。 残念ながら、既存のホテル、旅館では民泊に価格では対抗しようがありません。 なぜならエアビとは投資金額がまったく違うからです。 エアビでは自分の家やマンションを利用するわけですから施設の建設にお金をかける必要がありません。 おまけに管理、運営をオーナー自らすれば従業員を雇うことも必要ありません。 コストがまったく異なるのですから、競争になりません。 ビジネスの仕組みが違うわけですから、現在のままでは競い合うことは無理ですね。 安くて便利なものに顧客が集まるのは市場原理に合致します。 残念ですが日本のホテル、旅館もパリと同様の推移を辿ることになり、、数年後には半減するのでしょう。 気の毒とは思いますが、時代の流れで仕方のないことのようです。 京都に出張に行くたびに、あまり裕福ではなさそうな海外旅行客の増加に驚いていましたが、この方たちがエアビを利用しているんですね。 関空を利用するLCCと民泊で関西のインバウンド需要は大きくなってきているのでしょう。 エアビによって、既存のホテル、旅館の衰退に反比例するように新しい事業主が増えてきました。 経済学者のシュンペーターがいう、創造的破壊とはこういうことなのでしょう。 既存の古いビジネスは破壊され、新しいビジネスが構築される。 そのひとつの例とということなのでしょうね。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-28 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 24日
チケットの転売問題がマスコミを賑わせています。
ミュージシャンが連名で転売拒否の意見広告を新聞に載せたことは記憶に新しいです。 NHKのクローズアップ現代+でも10月12日に取り上げられました。 CDの売上は落ちる一方なのに、ライブはチケットが高額で売買(いや取引ですね)されるくらいの人気です。 大騒ぎになるくらい、転売で稼ぐマーケットが大きくなっています。 消費がモノからコトへと変わってゆく象徴なのだと感慨深いです。 写真業界もモノとしての写真を販売するのではなくて、コトとして写真で儲ける手段を探すべきですね。 また余談でした。 このチケットの転売問題、考えてみるとけっこう難しい問題ですね。先ずは法的な面から考えます。 明らかに商売として行っているのであれば古物営業法に違反となるようです。 街にある金券ショップは転売が仕事ですが、彼らは古物商として都道府県委員会の許可を得ています。 個人が営利目的ではない範囲で行うのであればセーフのようで、転売で稼いでいる人は営利目的ではないと言い張るようです。 定価の10倍以上での転売は営利目的とは思いますが、今は見逃されているようです? 次ぎは契約の側面から考えてみます。 通常チケットには転売禁止と記載されていますし、ウェブサイトでも告知されていますから、転売行為は契約違反となります。 チケットを購入することは、主催者と契約関係にあるとされますから、これは当然でしょう。 厳しく適用して、転売されたチケットで入場不可としされても文句は言えませんね。 もうひとつ考えられるのはダフ屋と同じではないかということです。 ダフ屋は都道府県が定める迷惑条例に違反するとされています。 ネットだから許されるということはならないとは思います。 法的にはかなりグレーな行為とは思いますが、ネット上での著作権侵害と同じく、摘発するほどの被害が発生しているほどではない、という判断なのでしょうね。 では、商売、経済的行為としてはどうでしょうね。 チケットの転売は定価で仕入れたものを、プレミアム分を乗せて再販売する。いわばブローカーです。 これが認められないではあれば、世にたくさんある小売りもダメということになります。 100円で仕入れたものを200円で売ろうが1000円で売ろうが、買う側が納得して買うのであれば通常の商行為としてなんの問題もありません。 いくらで販売しようが裁量の範囲として認められるものだと思います。 大量のチケットを独占的地位を利用して買い占めているのではなく、ネットリテラシーを駆使して入手しているのですから、仕入れがうまいだけで非難される筋合いではないようにも思えます。 価格は需要曲線と供給曲線が交わった点であると経済学で最初にならいます。 そうであるなら、チケットの転売マーケットは需要に比べて供給が少ないために、価格は上昇するということになります。 ですから、市場原理に任せておけば、チケットの価格が高騰するのは当たり前です。 そういうマーケットで自分の裁量で利益を稼ぐことは非難に当たらないでしょう。 では、転売の何が問題なのかというと、熱心なファンにチケットが渡らない、主催者でもファンでもない人がチケットがずるいことして儲けていることです。 上記のような、このような非難は道徳的にどうかと問われているのですね。 ファンでもない人が、ずるいことして儲けているのは許せない、ということです。 さて、この問題はどのように解決されてゆくのでしょうね。 テクノロジーを駆使して転売できない仕組みが普及するのか、法律を制定するのか、すべてオークションでの落札というような市場原理にまかせるのか、さまざなソリューションが考えられます。 ただし一つ言えるのは、意見広告を出すなどして、人の善意に期待するような甘いことではなんともならないでしょうね。強制力を持つ対策が望まれます。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-24 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 21日
フェースブックをしていると、付き合いのあるクリエーターの日常が垣間見えておもしろいです。
どうしても目が留まってしまうのは、下世話だと思いながらも、クライアントとのやりとりですね。 最近多いのは、とんでもなく安い価格を提示されて怒り心頭というものです。 デザインとかイラストの制作は相場というものがあるようでありません。 価格は交渉次第ですが、とんでもない価格をオファーされるクリエーターが後を絶ちません。 こんな投稿がありました。 あるイラストレーターに10カット描いて欲しいと依頼がありました。 小さなカットイラストではなく、1ページを使うくらいの大きさのもの。単価は2000円だといいます。 プロはこんな価格では請けないので、ご自身でお描きになればと、やんわりと断わりました。 すると依頼してきた人は自分では描けないし、仮に描けるようになるまでは長い修錬が必要でしょうと答えました。 つまり、依頼した人もお金を払うに価するイラストを描くことの価値は分かっているのです。 しかし、それが他人への支払いとなると極端な安値でお願いするということです。 残念なことに、同じようなに安い価格でのコンテンツ制作依頼のお話しをあちこちで耳にします。 時給換算すれば、コンビニでのアルバイトのほうがずっと割がイイという仕事を、プロにしてもらおうとするのです。 10年間イラストを描いて生計を立てていくことは本当に大変です。 そもそもクラスで一番絵が上手だったくらいの才能ではプロになることは無理です。 絵の上手な人間が美術大やら専門学校に進学し、卒業生のなかのほんの一握りがプロになるくらいです。 そして毎日々々イラストを描いて修錬を重ねるわけです。 こうした人が、誰でもできるアルバイトの時給と同じなわけがありません。 絵1枚を2時間で描くなら、時給1000円で2000円とはなりません。 修錬の時間だけでなく、なんらかのイラストを描こうと思えば、なんらか参考になる資料なり情報が必要となります。 何も参考にせず、サラッと描けてしまうことはありません。 こういう時間も必要になります。 つまり、ページ全面で使われるようなイラストなら最低でも数万円はかかるのが当たり前なのです。 残念ながら、この当たり前が通用しないケースが増えていることが問題だと思います。 もう少しプロの仕事の価値を尊重してもらいたいものです。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-21 09:30
| ストックフォト
2016年 10月 17日
「99%の会社はいらない 堀江貴文/著 ベスト新書」の紹介です。
SNSでの炎上狙いでしょうか?なんとも刺激的なタイトル名です。 著者が、あのホリエモンなだけに話題を呼ぶのも当たり前でしょう。 炎上させれば話題が話題を呼んで売上もさらに上がりそうです。 こういうネットでのビジネス手法を、リアルな出版に持ち込むというマーケティング手法を計算しているのでしょう。 それでは、中身はどんなものかというと、さほど驚くようなことが書いてあるわけではなく、まともなものばかりです。 別段目新しいことはなく、いつも通りの内容らしいです。(すみません。彼の熱心な読書ではないので伝聞です。) 私流に表現するならこんな具合です。 現在のグローバル化された環境においては会社という組織にとらわれる必要はない、起業することを勧める。 古い因習にとらわれず、合理的に考えれば本書にあるような結論になる。 このことを自らの体験を通して語っているのが本書です。 出版社からの案内はこちら。 http://best-times.jp/articles/-/2433 シリコンバレーのITベンチャーの価値観や行動をそのまま受け継いでいますね。 そうしたシリコンバレー流ビジネスと比較して、いかに日本の会社が遅れているかとあおっているように思えます。 新自由主義、市場原理主義、ネオリベラリズムの信奉者と規定すれば理解が容易なのでしょう。 読み物としては、大変興味深く読めました。 このような自己啓発本を私もけっこう読みますが、正直なところ読むだけです。 啓発されて行動を起こすことは滅多にありません。 そうなると仕事に役立たせるつもりではなく、たんなる読書、つまり趣味の一環でしかありません。 楽しみに読むとなると面白いか、面白くないかということが大切になってきます。 また話題かどうか、他の人に喋って楽しいかということも大切です。 つまりエンターテイメントとしか考えていないということです。 私のような読者が大多数でしょうね。 なぜ行動を起こさないのか? 書かれてることを実践するには並外れた能力が必要で私にはできない、と言い訳する人が多いでしょう。 それに対して、著者は著者だからできるのではない、誰だってできると言います。 私は誰でもできるわけがないと思います。 彼が、本書のなかで述べている月20万や30万円の給料を払わなくてはならないことが理解できないと評価していた社員では、とてもできないでしょう。 でも世の多くの人はこのレベルの労働者です。彼からすればバカばかりでしょう。 ホリエモンだけができるわけではないが、できる人間は一握りの優秀な人間だけ。それが私の見立てです。 彼を取り巻く人も、世間一般からすれば優秀な人間ばかりでしょう。 そういう人間にとっては、チャンスはころがっているのかもしれません。 ただし、そうでない人間にとっては、リスクをとって起業するより、会社にぶら下がっているほうが賢明です。 誰でもできる、なんてことは絶対にありません。 特別な人間でなくてもできるかもしれないが、できる人間は限られています。 リスクを取ることができるのも、ある程度の才能があるからです。 リスクを取らずに組織にしがみつくのも、ひとつの生き方として尊重されるべきでしょう。 すみません。本の紹介になっていません。私見を述べただけになってしまいました。ご容赦ください。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-17 09:30
| 神楽坂日記
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