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2008年 11月 11日
グッドイナフという考えについて第2回です。
前回、DTP普及時にグッドイナフという考えが紹介されたことをお伝えしました。 品質はまあまあでも安価、と考えていただければ結構です。 この考えは、やはりアメリカ人のものだと思います。 日本人からはなかなか出にくい発想ですね。 日本人は良くも悪くも品質と機能にこだわります。 それが素晴らしい経済発展の原因であり、現在のガラパゴス現象に象徴される低迷の原因であるとも思います。 このキーワードでストックフォト業界を見てみましょう。 先ずは使う側からです。 ロイヤリティーフリーの普及はグッドイナフの考えが浸透してきた証拠でしょう。 他社が使っている写真なんか俺は使わないぞ、というデザイナーのこだわりは予算カットの前に崩れてしまいます。 今夏、あるふたつの町の観光ポスターにまったく同じ写真が使われているということで話題をよびました。 担当した各々のデザイナーが同じ素材集の写真を使ったということです。 別に驚くことではないのですが、観光ポスターの写真ですら手間と予算を考えて素材集を使う時代になったということです。 少し前ならオリジナルで撮影することが常識でしたから、大きな変化です。 厳しい経済状況を反映して写真に使われる予算は減らされる一方です。 どの写真を選ぶかというより、どの価格の写真を選ばざるを得ないかというように変わってきています。 少し寂しい話ですが、そのような仕事が増えてきていることは間違いないです。 不況が後押しするグッドイナフ思想とでも言っておきます。 それでは、次に作る側です。 このグッドイナフという考えを抵抗無く受け入れられるか否かは、ある年齢を境にして違うように感じます。 ある年齢以上の人は職人気質を色濃く残している人が多いようです。 彼らはバブルのよき時代を経験していますので、この言葉には与(くみ)しません。 良いものであれば必ず売れる。こだわり捨てたらおしまいよ。というような経験と価値観を持った方々です。 グッドイナフではなく、まさにハイエンドな考えですね。 尊い姿勢なのですが、ここから出てくるコスト計算は積み上げ方式です。 この写真を撮影するには、ロケハンを数回して天気の良い日、季節を選んでとなると自然にコストはあがってくる。 しかし、コストをかけても売れる金額は限られてしまう。となるとコスト割れ、採算合わずとなってしまいます。 このような現実を前にして頭では理解しても、心情的には受け入れられないのでしょう。 経験が邪魔をするということです。 このグッドイナフが求められる時代には、柔軟に対応できる業者が生き残り、こだわりを固持するものが滅びるのか? 単純な結果にはならないでしょう。 こだわりを持ちながら成功する人は当然します。しかし、確率的には減ることは間違いありません。 結論としては、品質だけを追い求めては量の拡大は見込めない時代になったことです。
by mixa_suwa
| 2008-11-11 13:20
| ストックフォト
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