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2008年 12月 04日
![]() 作品(ファインアート、アート写真)は商業写真(コマーシャルフォト、ストックフォト)となりうるのか、について考えてみました。 作品とは、著作権法の定義とおりに「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、…美術の範囲に属するものをいう。」ということです。 つまり、自分の世界観を自分の思い通りに写真というメディアに表現したものといえるでしょう。 それに対して、商業写真は依頼主(クライアント)の要望に沿ったイメージを提供する仕事の成果物といえるでしょう。 作品が主に観賞用として、写真そのもので成り立つものであるのに対して、商業写真は写真それ自体だけで成り立つものではありません。 広告表現を構成する要素の一部です。デザインがあり、キャッチコピーがあり、その中でのパーツの一種であるということです。 従って、そこでのカメラマンの役割は与えられた仕事を適切に行う、ということになります。 この与えられた仕事であるがゆえに、ストックフォトは制限がたくさんあります。自分の好き勝手にはできません。 広告の効果を最大限、発揮できるような写真であることが求められるからです。 ここで求められる資質は作家というより職人ですね。 お客様の要望を満たす写真を提供することができる腕のよい職人が求められるということです。 つまり、そもそもの目的が作品と商業写真では違うということです。 結果的に、自分が作品(アート写真)と思っているものが商業写真(コマーシャルフォト)として使用されることはあるでしょう。 しかし、その事例はそれほど多くはならないでしょう。 なぜなら、もともと広告の一部であることを自覚して撮影された商業写真と競合した場合、目的に沿って撮影した写真のほうが選ばれる可能性は高いからです。 デザイナーがスタイリッシュな写真を選んだとしてもクライアントからOKがでない、という話をよく聞きます。 だから、どうしても無難なものになってしまう、というのが結果です。 広告に使われる写真の目的は、自分の商品、サービスを訴求するための効果をもたらすことです。 従って、明るく、きれいな写真でより幅広い人に好感を持たれ、反感をもたれることが少ない写真が良いという考えになります。 その結果として、選ばれる写真は無難なものになってしまいます。 この状況をおもしろくないと考える人もいますが、クライアントの意識が変わらなければ状況は変わらないでしょう。 某社の素材集は今までの概念を覆す斬新なものが多いです。著名なカメラマンを起用し、独特のモチーフに凝ったシチュエーションで海外での評価は高いものがあります。 しかし日本国内ではそれほど商業的に成功しているとは聞いていません。 これは写真のクオリティーの問題というより、実験的な写真を受け入れる土壌ができていないということだと思います。 クライアントが納得してくれるということをデザイナーが考慮すると、エッジの利いた作品っぽいものは避けるのでしょうね。 結論としては、作品がビジネスになる可能性は現状では低いと思われます。 それはデザイナーがクライアントの意向に沿おうとすると作品は選ばないからです。 広告に使用されることを前提に撮影された商業写真と競合しては作品に勝ち目がない、ということですね。 ただし、将来のことは分かりません。この作品のほうが宣伝効果が高いとクライアントが思えば状況は変わります。 スタイリッシュな作品のほうが宣伝効果が高いとなれば時代は変わるのでしょう。 もっとも、そのときには作品が新しい商業写真になったということでもありますが。
by mixa_suwa
| 2008-12-04 11:42
| ストックフォト
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