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2009年 10月 23日
司馬遼太郎の作品を紹介するブログ、今日は彼の戦国時代物の代表作「国盗り物語」と「功名が辻」です。 先月から安土城を作った岡部又右衛門を主人公にした映画「火天の城」が上映されています。 城作りを命じたのは織田信長、織田信長を主人公にした司馬遼太郎の作品は「国盗り物語」です。 この岡部又右衛門、「国盗り物語」にも登場しますが、信長との関わりではなく、義理の父つまり舅の斉藤道三に請われて城作りをするという役回りです。以上、余談でした。 「国盗り物語」は初期の傑作で1973年の大河ドラマの原作にもなりました。 戦国時代に一介の油商から美濃の国主に成り上がった斉藤道三を扱った前半と、道三の意思を継ぎ天才的な知略で天下統一を計った織田信長と明智光秀を扱う後半、新時代を拓く先鋒となった英雄たちの生涯を描く長編です。 司馬遼作品のなかでは破綻がなく最後まで整合性が取れていると評価されています。 そのうえに、エンターティメント性もたっぷりの読みやすい作品となっています。 斉藤道三は蝮(まむし)のあだ名通り、極悪人と評価されていましたが、この作品により人々の見方が変わったようです。 権謀術数を駆使した戦国の雄、という具合に。司馬遼太郎の影響力はすごいですね。 もっとも、近年の研究では斉藤道三一代で国主にまで昇ったというのではなくて、道三の父との二代で成し遂げたという説が有力になってきているそうです。歴史も修正されるということです。 同時代に生きたイタリア人マキアベリの思想にもっとも近い実践家が道三と信長であったという指摘は参考になります。 古い因習にとらわれることなく合理的に考えることを教えてくれる作品と言えるかもしれません。 2006年の大河ドラマの原作となったのが「功名が辻」です。 司馬遼太郎の作品を原作とした大河ドラマは低視聴率との定説を覆した作品です。 こちらも比較的初期の作品で1963年から1965年にかけて新聞に掲載されました。 戦前には良妻賢母の見本として教科書にも載ったという、山内一豊の妻、千代が主人公の司馬遼には珍しい女性が活躍する作品です。 内容は、 天下にむかってはなばなしく起ち上った織田信長の家中に、ぼろぼろ伊右衛門とよばれる、うだつの上らない武士がいた。 その彼に、賢くて美しい嫁がくるという……伊右衛門は妻千代の励ましを受けて、功名をめざして駈けてゆく。 戦国時代、夫婦が手をとりあってついには土佐一国の大名の地位をえた山内一豊の痛快物語。 (文藝春秋社のホームページより引用)というものです。 私は千代の才覚よりも、一豊の凡人としての自覚と処世こそ学ぶべきであると思います。 律儀だけが取柄で、才ある妻の助言を素直に受け入れ、主人を選ぶ確かな目はさほどの才能に恵まれない人間が出世する方法としてベストであったということでしょう。 このふたつの小説を読めば、戦国時代のおおよその歴史を学ぶことができます。 司馬遼太郎は幕末、戦国時代に活躍する人物を好んで書いています。 それは変化の時代のなかから湧き出る無数の才能に惹かれるからでしょう。 戦国武将ブームの昨今、あらためて読み直すのも良いことだと思います。
by mixa_suwa
| 2009-10-23 09:30
| 神楽坂よもやま話
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