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2014年 06月 09日
先月、中国で実物大のスフィンクスが作られたと話題になりました。
本家のエジプト政府も怒り心頭だと伝えられています。 伝えるマスコミやネットでの反応は、模倣大国がまたとんでもないことをしでかした、というものが多いようです。 日経の記事をどうぞ。 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2601F_W4A520C1CR8000/ おもしろい事案なので、少し考えてみましょう。 ネットの反応のひとつに、パクリ大国の中国は著作権、肖像権を蔑(ないがし)にしている、というものがありました。 はて?スフィンクスのコピーを建造することは著作権違反なのでしょうか。 建築物は著作権法に規定されていますが、仮にスフィンクスが著作物であったとしても、建造後4000年以上も経過していますから、著作権者の死後50年経っていることは確実です。 ということは著作権の保護期間は消滅していますから、似せて作っても著作権違反にはなりません。 それでは、コピーしたスフィンクスは、本物の肖像権を侵害しているのでしょうか? 肖像権は人格権の一種ですから、人間にしかありません。スフィンクスは建造物であり、人間ではありませんから肖像権が発生するわけがありません。となると肖像権の侵害にはなりません。 そもそも著作権も肖像権も近代になってから発生した概念です。 スフィンクスが建造された古代には、そうした概念は存在しませんでした。 おそらく、このように非難した人はこのコピーされたスフィンクスの問題を、ドラえもんやミッキーマウスの模倣と同列に考えているのでしょうね。 少し視点を変えて考えましょう。東武ワールドスクウェアの25分の1の模型やラスベガスのホテルのピラミッドについてはなぜ問題にならないのでしょう? 実寸大ではなく縮小したものだからでしょうか?いいえ、パブリックドメインだと認識しているからでしょうね。 法的な問題でないとしたら、エジプト政府は何を根拠に文句を言っているのでしょうか。 スフィンクスは世界遺産にも登録されている著名な建造物である。それ故に、著名な人間と同じようなパブリシティー権を保持している。 中国の偽スフィンクスは、本物スフィンクスのパブリシティー権を侵害している、というように考えたのでしょうか。 今回の件は、以前、紹介したモノパブ問題と同じです。http://mixaphoto.exblog.jp/21685444/ 法的に認められたものでなくても、慣習となって既得権が発生していると考えられるのです。 モノパブの問題は日本だけでなく、世界中で発生しているのですね。 中国側は、この偽スフィンクスは映画のセットのために作ったもので、金儲けのためでない、すぐに壊すと表明しています。 残念な反応です。反省したり釈明してもらっては、中国らしくありません。 著作権にも肖像権にも抵触せず、法的には何の問題もないはずだ、と開き直って欲しかったですね。 ついでに、我が国は紙を発明し、漢字を発明したが、今だかつて特許料も使用料も請求したことは一度もない、とでも切り返してくれたら、おもしろかったのに。あるいは万里の長城のコピーを作っても文句ない、とでも言えばいいのに。
by mixa_suwa
| 2014-06-09 09:30
| ストックフォト
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