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2015年 03月 02日
本日、ご紹介するのは「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る デービット・アトキンソン著 講談社+α新書」です。
さまざまメディアで紹介されている話題の書、私も読んでみました。 出版社からの紹介はこちらです。 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062728706 帯でバカの壁の養老孟史先生が「日本人の壁を超える良薬。著者は日本人より日本のことをわかっている人です」と推薦しています。私も同じ意見を持ちました。 正直なところ、かなり耳の痛いことをズバズバと書いています。 日本人を見下していると腹がたつ指摘が満載ですが、少し冷静に考えていると、著者の書いていることはほぼ間違いありません。 少なくとも、私は悔しいけれど、納得せざるを得ませんでした。 例えば、日本人は「数字に基づいた分析と、細かい改善をしない」との指摘。 残念ながら、その通りです。経営者と話していても、自社の売上数字ですら正確に覚えていない人はいます。 なんとなく金回りが悪くなった、銀行の残高が減っているから危ないなあ、との危機感を持っていても、細かく数字を分析するわけではなく、経験から得られた知識をベースにして判断する、というケースが往々にしてあります。 財務諸表を頭にいれずに会社を経営してしまう、いわゆる丼(どんぶり)勘定ですが、これでも経営者として通ってしまいますから、著者の指摘は正しいですね。 「お前もそうだろ。」と言われると、いや違うと胸を張って答えられないのが情けないです。 もう一例あげておきます。 「シンプルアンサー」が大好き、です。 この書では、銀行の不良債権問題が書かれています。 なにもしないでは悪化するばかりなのに、少しだけ改善する解決策は認めない。 「これをしたらバラ色の未来が待っている」にしか道を見出そうとしない、との指摘です。 これも当たっていますね。 どの会社でもありがちなことですが、主要な事業が傾いてくると、新しい柱を作ろうとします。 柱というくらいですからある程度の規模のビジネスですが、そんな新しい柱が簡単に見つかるわけがありません。 規模は小さくても、少しでも利益のあがる新規事業を、たくさん立ち上げるという発想はありません。 提言しても、そんな10億にもならんような事業では話しにならん、それでは柱ではなく割りばしだ、とバカにされます。 一発逆転のホームランみたいな答えしか認めません。シンプルアンサーが大好きなのです。 ハハハ、いけません。自分の経験を強引に結び付けてしまいました。 悪い点の指摘は、感情的に反発するのではなく、きちんと数字で反論する必要がある。 劣っているところは、それだけ伸びしろがあると分かって改善すればよい。 これだけ教えてもらうだけでも、読む価値は十分あります。それもたったの840円です。 この書にケチをつけるとするなら、著者は新自由主義の信奉者ですからグローバリズム経済を正しいとする立場であること、です。 日本経済には成長が必要でもないし、他国と比較しても仕方ないとの考えには対抗できません。 次に、イギリス人らしく大人文化に理解は深いが、カワイイ文化を認めないということです。アジア人は違うし、数が多いとの反論も可能です。 もう一つは、自身がイギリスの上・中流階級の価値観をベースに判断しているので、平等社会の日本がおかしく映るということになります。 しかし、上記のケチは数字の冷静な分析の前では、簡単に跳ね返されてしまいます。 これも感情から反発した無理くりな批判にしかなりませんね。 というわけで、お勧めの一冊です。
by mixa_suwa
| 2015-03-02 09:30
| 神楽坂日記
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