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2015年 06月 05日
今では考えられないかもしれませんが、ほんの10年程前でもRF(ロイヤリティーフリー)はストックフォトエージェンシーのなかでは異端視されていました。
ある会合でRM(ライツマネージド)の専業の方から質問を受けました。 「あなたはどうして写真を扱っているのですか?」 正直なところ、何を意図しての質問か分からなかったので、「仕事だからですよ。まあビジネスとしてストックフォトをしています」と答えました。 この答えが頭にきたのでしょうね。「つまりお金のためですか?」 「まあ仕事ですから。ビジネスとして行う以上はお金儲けのためでしょうね」と私。 この答えにヒートアップして彼は続けます。 「あなたは写真を愛していないんですよ!僕らとは違う。僕は写真を愛しているから写真の仕事をしている」 私は新参者でしたし、価値観の違う人と話しても仕方ないと思い、これ以上は続けませんでした。 彼にとってRFは写真の価値を貶めて価格破壊をする存在だったのです。 RFは、自分たち写真を愛する者たちが築いた業界を潰そうとする、許すことのできない敵と思われたのでした。 写真を単なる商品として流通させている私は、写真を愛する彼とは正反対の存在だったのです。 これって、おかしな話しですよね。 そもそもストックフォトとは商業写真であって、アート芸術作品ではありません。 それはRMであろうがRFであろうが、エディトリアルであろうがクリエイティブであろうが同じです。 ビジネスとして行っている以上、お金儲けを目的にするのは当たり前です。 しかるに、RF専業者(私のことです)はお金のためだけに写真を扱う汚い奴ら、写真を愛していない奴らだ。 金儲けのためという不純な動機で写真を利用している。 こんな奴らをのさばらせちゃいけない、という理屈です。 この後、「写真を愛していない」という悪口は、さまざまなところで聞くことになりました。 レンポジ屋さんから私が浴びたこともあれば、写真家がクライアントへの愚痴をいうなかで聞いたこともあります。 するとだんだん分かってきました。 この「写真を愛していない」というのは、“写真を愛してもいない人間が写真を扱うな”という非難のように聞こえます。 しかし、この非難の本質はそこにはありません。 どうやら、自分にとっておもしろくないこと、例えば、レンポジ屋さんなら売上が下がってくるとか、あるいは写真家ならクライアントから低い評価を受けると、その原因を相手が“写真を愛していない”ことに求めるのだと。 不思議ですよね。プロとは、それでメシを食っているからです。プロ写真家の目的はお金儲けに決まっています。 フォトエージェンシーを経営している目的もお金儲けになります。 それなのに、RFの業者はお金儲けのためだけの“写真を愛していない”と非難するのですから。 この倒錯した価値観に慣れるまでに時間がかかりました。 10年経って、いい時代になりましたね。 お金儲けイコール汚いこと、悪いことという方程式を口にする人は少なくなりましたから。 堂々と、お金を儲けるためにストックフォトに取り組んでいただきたいものです。
by mixa_suwa
| 2015-06-05 09:30
| ストックフォト
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