カテゴリ
以前の記事
ブログパーツ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2016年 06月 20日
映画64「ロクヨン/後編」が公開中です。
読んでから観るか。観てから読むか。 原作が評価の高い小説の場合、映画化されるとこんなキャッチが出ます。 私は原作(64(ロクヨン)横山秀夫・著/文春文庫)を読んでから映画の前編を観て、もう一度原作を読み返してから、映画の後編を観て、その後テレビドラマを2回観ました。けっこう嵌ってしまいました。 原作は多重な人物関係、複雑な構造、緊迫感が溢れる名作です。 正直なところ、1回原作を読んでも大まかな筋は理解できても、この部分は後で出てくる伏線だったのか というようなデティールは把握できませんでした。(単純に私がバカだからですが) 映像化されたものを観て、読み返してようやく理解ができました。情けない。 映画やドラマもお気楽に楽しんでいたのでは、ストーリーにすら追いつけません。 もちろん映像化は初めて作品に触れる人にも理解できるように分かりやすくしていますが、原作を読んでいるからこそ展開が予想できましたが、初めてこの作品を観て分かるのかな?と疑問でした。 ですから、読んでから観に行くことをお勧めします。 ドラマは原作を超えたか?映画は原作を超えたか? これまた評価の高い小説が映像化されると、こういうキャッチが流れます。 大体の場合、原作の評価が高ければ高いほど、映像が超えるということは滅多にありません。 原作を正確に映像化するということは難しいうえに、小説のファンは勝手に自分の頭の中で自分のイメージが出来上がっていますから、映像化されたものに違和感を感じてしまいます。 結果、小説のほうがおもしろい、となります。 映像が原作を超えるということは至難の業ですね。 それで、私なりに評価するなら、NHK土曜ドラマはかなり原作に忠実です。 公開セミナーのチラシに、土曜ドラマ「64」は、原作の持つ多重な人物関係、複雑な構造、緊迫感を正確に映像化した質の高い警察ドラマとして高い評価を受け、とあります。この評の通りだと思います。 視聴率は芳しくなかったようですが、お笑いの要素がなく、終始緊張感を漂わせる画面ですから一般受けはしなかったのでしょう。 しかし、文化庁芸術祭の大賞を受けるくらいですからクオリティーは高かったわけです。 それに比べて映画は原作からかなり逸脱しています。 この書き方から分かるように、映画のためのオリジナル脚本が私にはガッカリでした。 お金をかけた豪華な俳優陣と映画ならではの迫力は素晴らしいのですが、原作のニュアンスがまるっきり変わってしまうことに戸惑ってしまいました。 小説の場合は余韻を残すというか、解釈を読者にゆだねることにより作品に深みを与えることがあります。 そこの部分を分かりやすく結論を明確に描き切ったことが、原作の良さを犠牲にしているような感じです。 ということで、映画は原作を超えられなかったようですね。 原作のジャンルはミステリーですが、ミステリーの枠には収まらない作品ですね。 人間がよく描かれている人間ドラマといった感じです。 組織に生きる人間の葛藤、理想と現実、保身と野心、さまざまな対立する概念を具体的な行動の描写で描いています。 それ以外にも警察とマスコミ、東京と地方、キャリアとノンキャリア、親と子などたくさんの葛藤がこの小説には盛り込まれています。素晴らしい。圧倒的にお勧めです。
by mixa_suwa
| 2016-06-20 09:30
| 神楽坂日記
|
ファン申請 |
||