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2017年 02月 02日
現在公開中のマーチン・スコセッシ監督作の「沈黙」についてのブログです。 1月2日のNHK BSで2時間にわたってこの映画の特集が放映されました。 この番組で興味を持った私は原作を読んで、映画の公開に備えました。
遠藤周作の原作、読まれたことありますか?私は初めて読みました。 情けないことですが、マーチン・スコセッシが撮らなかったなら読まなかったでしょうね。 いつもながら外国で評価されてから、日本の素晴らしさに気がつく。 払拭したつもりでも欧米コンプレックスは身についたままです。 遠藤周作といえば“狐狸庵先生遠藤周作 ダバダバダ、ダバダー”でネスカフェのコマーシャルしか覚えていなかったです。 北杜夫と仲良く、ユーモア小説の作家だとばかり思っていました。
50年前に書かれた作品ですが、今どきの小説とはまったく違います。 伏線が張り巡らせてあったり、ドンデン返しがあって、うーんそうだったのかと唸るようなところはありません。 誰でもがこのように展開するだろうと予想した通りにストーリーは進み意外感はまったくありません。 しかし、異常な緊張感と巧みな描写が読者にも痛みを感じさせながら読ませます。 エンターテイメントを排したシリアスな作品、キリスト教徒でなくても宗教とはなんぞやと大きな課題を突き付ける傑作です。 もっと早くに読んでおけばよかったと後悔。
傑作の原作をかなり忠実に再現しているのが映画です。 公開2日目に行ったのですが、観客のほとんどが団塊の世代、つまり初老の方ばかりです。 そうか、俺もその一人になりつつあると自覚しました。
で、肝心の作品。俳優たちはよくこれだけ過酷なロケを耐えたなと感心することしきり。 マーチン・スコセッシの作品らしく緊張感漂う描写と壮絶な暴力シーンがふんだんで観客にも痛みと厳しさが伝わってきます。 観て楽しい、幸せな気持ちにはなりません。 彼の過去の作品のなかでは、ギャング・オブ・ニューヨークに一番近いな、というのが私の印象です。 興業としてはさほど成功するとは思えませんが、傑作であることは間違いないです。
50歳を過ぎてから、やたらと宗教に惹かれるようになりました。 神道に仏教にキリスト教と脈絡なくですが。 なぜ仏教は2500年も続くのか?キリスト教は2000年も続くのか? いつの時代でも人々が求めているものであるからでしょうね。
この映画の背景、400年前の日本でも信仰に救いを求める人がいて、それを伝える人がいて、さまざまな弾圧と葛藤があった。 大きな課題を突き付ける作品であることも間違いありません。 イッセー緒方がアカデミー賞を取れるといいですね。
by mixa_suwa
| 2017-02-02 11:48
| 石神井日記
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