カテゴリ
以前の記事
ブログパーツ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2017年 03月 29日
昨年末 1週間ほど前にも日経新聞にも、キュレーションサイトを運営しているIT企業の事件発覚後の対応を報じていました。十分とはいいませんが、各社それなりに善後策を講じていることは理解できました。
そんな中で、こうしたキュレーションサイトを運営していた現場の方のインタビューがネットのニュースで流れました。 どのキュレーションサイトかというと、一番大きく取り上げられた球団を持つ上場企業が運営しているものです。 引用すればいいのですが、あまりに腹が立って名前すら書きたくありません。
なにが腹が立ったのかというと、自分たちが起こした事件を反省するのではなく、メディアにあることないことを書かれてサイトは閉鎖に追い込まれたと、自分の不遇を嘆いているからです。 転職活動をしなくてはいけないと思っている。サイトを運営していた現場の長は天才だ。そういう人の才能をつぶしてしまうのはもったいない。との宣(のたま)っているからです。
この記事には、被害者面かよ、というコメントがたくさん並んでいました。 一番の被害者は、自分の著作物をパクられた著作者であるにも関わらず、盗人行為をした己を反省することがないことが反感を呼びます。
この方の言い分では、著作権侵害の恐れのある画像はレンポジ屋さんのものに差し替えたので対応は終わっている、らしいです。 腹立たしい。パクった画像をストックフォトに変更したところで、複製権侵害を行った事実が消えるわけではありません。 この人の認識は、問題があれば取り下げたので、それでいいでしょ?というものです。 もっと頭に来たのが、著作権侵害だとクレームが入ってもシカトしていた、としゃあしゃあと述べていることです。
ストックフォト業界では、webサイト作成業者をはじめとしてIT企業が平気で複製権侵害を行うことに頭を痛めてきました。 このことはなんどもこのブログでも書きました。 彼らの認識とは、ネットでいくらでもあがっている画像を使うことは当たり前です。 なぜなら写真を使う予算はないからです。クライアントからいただくお金では有償の画像は使えないから仕方ないと思うのです。 画像を取られたくないなら、そのように対策を施しておけ、いくらでもコピーできるようにしておくのが悪い、との言い分もよく聞きました。 挙句が、文句があるなら言ってこい、画像を取り下げるぞ、これならいいだろ?という開き直りです。
こうした意識は小さなwebサイト制作会社だけでなく、有名なキュレーションサイトでも同じことが、このインタビューで分かります。 このような意識は著作権などの無体財産に関しての知識の欠如から来ています。 根は深いなあ、と嘆息です。 #
by mixa_suwa
| 2017-03-29 11:46
| ストックフォト
2017年 03月 13日
時間ができたので、平日にお出かけすることが多くなりました。 会社を経営していたころは、商業施設や観光地は平日は閑散としているものだと決めつけていました。 ところがヒマになって実際に出かけてみると、決めつけとは裏腹に、商業施設や観光地もガラすきということはなくて、土日祝日ほどではなくても、結構な人出に驚いてしまいます。
もちろん、どこの施設もそうというわけではありませんが、私が行った東京周辺の観光スポットは平日であってもそれなりの人出でにぎわっています。
最近、1泊程度の小旅行を楽しむのがマイブームで、関東にある国民休暇村を利用します。 たまたまネットの記事で紹介されていたので、ものは試しと泊まってみました。 正直なところ、泊まる前はどうせ官がやっていた施設だ、安いだけのサービス精神の欠如した宿屋だろうと侮っていました。 ところが、泊まってみると、えー、この価格でここまでのサービスをしてくれるのだと驚きでした。 抜群のコスパです。
なによりも驚くのが、平日であっても結構予約が取りづらいし、駐車場も満車、夕食、朝食時にはレストランは混み合うことです。 ふーん、世の中は平日に遊んでいる人がこんなにもたくさんいるのだ、と自分もその一人なのに感心してしまいます。おまけに土産物の購買意欲も半端ではありません。
もっと驚くのが美術館、博物館での人出です。 東京国立博物館や渋谷の文化村に行くと、それはそれは多くの人で、自分の好きなようには鑑賞できません。 会場を独り占めなんてことにはならず、余裕をもって鑑賞するなんてこともできません。
それでは、どんな人が平日にお出かけするのかといえば、ご想像のとおり、シニア、お年寄りたちです。 おばあちゃんグループか老夫婦という組み合わせが圧倒的に多いです。 いわゆるアクティブシニアと呼ばれる層ですね。 時間があって、お金にも余裕があるとなると、こういう年齢層の方になるのでしょうね。
シニア向けのマーケットが大きくなっていくことは、社会の高齢化が進んでいるのですから間違いありません。 特に元気で時間もあってお金にも余裕のあるシニア向けのマーケットは大きくなることでしょう。 どんなマーケットかと想像するに、知的好奇心が旺盛な人を満足させるサービス、商品を提供するものになると思われます。 どうして、そのような考えになるかというと、これからのシニアと今までのシニアとの違いから推測するからです。 団塊の世代以降の人たちとその前の世代との違いのひとつに、高等教育を受けた人の比率があります。 従前のシニアは大学へ進学した人は10%に満たないものが、これからのシニアは30%を超えることになります。高学歴シニアが大量に発生します。 この方たちのお金の使い先としてのマーケットの需要は高まることは確実です。
こういうマーケットをターゲットにしたストックフォト、イラストの需要も高まるでしょうね。 え?すでにある、って。まだまだ足らないでしょう。 いけません。もう引退したのに、こんなことを考えていても、と反省です。 #
by mixa_suwa
| 2017-03-13 10:39
| 石神井日記
2017年 03月 06日
![]() プレミアムストックという言葉、たまにですが使われるようになりました。 台湾の代理店から聞いてから1年が経ち日本でも普及する兆しがちらほらと。 復習になります。プレミアムストックとはマイクロストックではない高価格のストックフォトのことです。 従前は高価格のストックフォトしかなかったものですから、ストックフォトとはプレミアムストック だったのですが、マイクロストックの普及により、それ以外のストックフォトを言い表す言葉が必要になったのです。
その昔、電話といえば固定式のものをいっていたのが、ケータイ、スマホの普及で従前の電話を固定電話というようになった、というのに似ています。
当初、マイクロストックはマイクロペイメントとサブスクリプションの2つの販売形態を分けて考えられていました。 マイクロペイメントとは従前のRFのストックフォトと同じように1点づつダウンロードされるもので、価格が従前のそれと比較して圧倒的に安いものです。極小の支払いですむという文字通りの意味ですね。 このマイクロペイメントが普及しだすと、当然のように旧来のストックフォト、プレミアムストックは厳しい状況に立たされることになります。 印刷用途なら1点3万円だったものが、1点3千円で発売されるようになりレンタルポジ屋はやっていけなくなり、今日に至るというわけです。
ところがストックフォトの相場の下落はそこで留まりません。 事業を引き継いでいるときにこんな意見を聞きました。 地方のチラシを作っている印刷業者が1点3千円もするストックフォトを利用できるはずがない。 予算から考えれば、せいぜい2,300円程度ではないか? だから、昔購入した素材集CD-ROMを力いっぱい使って、新しい写真を買おうとしないのだ。
また、あるところで聞いた話です。 WEBデザイナーにとって1点500円の写真は高すぎる、100円くらいでないと頻繁には使えないという意見が出てきた。
うーん。相場感はそこまで下がってきているということでしょう。 マイクロペイメントと呼ばれた写真は、少しもマイクロな値段とは認識されないようになってしまった、ということでしょう。 つまり、当初のマイクロペイメントはちっともマイクロの価格でなくプレミアムストックになりつつあるということです。
ですから、マイクロストックとは定額制での価格、せいぜい1点あたり100円くらいのもの、と認識されるようになるでしょうね。 昔のマイクロペイメントがいまやプレミアムストック、相場の下落はまだまだ続きそう、というのが本日の結論です。
#
by mixa_suwa
| 2017-03-06 15:30
| ストックフォト
2017年 02月 28日
![]() 先週、横浜・みなとみらいで行われたCP+行かれましたか? 私は毎年欠かさず出かけています。 この展示会に参加すると、いかに写真マーケットは大きいのか、写真・カメラに興味を持つ人が 多いのかが一目で分かります。 年に一度、このことを確認できるだけでも行く価値はあるなと思います。
今年の一番の話題は、ブースの広さでニコン、キヤノンの専業メーカーを抜いてソニーが一番になったことです。 なるほど圧倒的な存在感を誇っていたニコン、キヤノンよりも、家電メーカーのソニーがその一角に食い込み、抜き去ろうとしているのか、と感慨深いです。 たしかに、集客という点でもソニーブースが一番多かったようです。 現に私もソニーブースで2時間以上は滞在していましたから。 ソニーに勢いがあることは間違いないでしょう。 なにより私が使っているカメラは写真のRX100Ⅲです。 このカメラはデザインの良さとツアイスのレンズに惹かれ最近購入したものですが、少し前ならソニーのカメラを買うことはなかったでしょう。 AV機器メーカーの片手間仕事と侮っていたことをコロっと忘れていました。 コンデジだけでなくスマホもソニーのXPERIAを使っていました。そのカメラ性能は十分満足できるものです。 そうだった。ソニー好調に私も貢献をしていたのでした。
私がふーんと感じたことその2は、女子向けの展示がめっきり減ったことです。 ここ数年はミラーレス一眼を女子向けに売ろうと各メーカーが競っておりました。 被写体はお料理、猫、お花、友人、自分と身近なもの。 こんな素敵な写真を撮ろう、というアピールが今年は見当たりません。 コンパクトデジタルカメラがスマホで十分と思われて売れ行きが落ちています。 ミラーレス一眼の主要ターゲットだった女子マーケットは大きくならなかったということでしょうね。
ふーんと感じたことその3。 一番お客を集めるのは、講師によるセミナーです。 私の参加目的も鉄ちゃんカメラマンの中井精也さんとハイパークリエーターの高城剛さんの話を聞くことでした。 ソニーブースで聞いたのですが、超満員で熱気でむせ返り、気分が悪くなるくらいの混みようです。 おふたりとも喋りがうまい。芸人なみです。 講師も話芸だな、コンテンツも大切だけど、いかにお客を引き付けるように喋れるかがポイントだと分かります。 プロカメラマンも先生で稼ごうとするなら、喋りの勉強も必要になります。 こんな気づきが得られるのですから、CP+は行く価値は十分あります。 しかも、事前登録すれば無料です。 暇を持て余す失業者の私にはありがたいイベントでした。 #
by mixa_suwa
| 2017-02-28 10:10
| ストックフォト
2017年 02月 20日
![]() 自分が所属する業界のマーケットをどう捉えるか? 以前に働いていた印刷業界のことで考えてみました。 紙媒体はネットに押されて減る一方で、日本国内の売り上げはピーク時に比べて3割強減り3兆円台になりました。 この事実から、先行きの見えない希望の持てないマーケットと思われがちです。 しかし、別の角度から見ると、衰退しているとはいっても、まだ3兆円の巨大市場です。 これから伸びるかどうか分からないマーケットに進出するより、ここで頑張ったほうがよいと考えることもできます。 シュリンクしてゆくマーケットでも、ラクスルのような企業が出てくるし、グラフィック、プリントパックのような企業も活躍しています。
これと似たようなことを最近経験しました。 ストックフォト、イラストの用途のひとつに年賀状での利用があります。 年賀状もネットの普及とともに減少に転じ、最大から30%以上減って33億の発行枚数と報道されました。 この報道は減少のとまらない、はっきり言えばお先真っ暗で終わったビジネスであるかのようなものでした。 私も数年間取り組みましたが、単価の下落にマーケットの縮小で撤退やむなしという判断をしました。
ところが、まったく違う見方をしている方からお話しを聞きました。 小さくなっているとは言っても、まだ33億枚もの年賀状が発行されている。 当社のその中でごくわずかのシェアをとっているだけである。 まだまだ入り込めていないビジネスはいくらでもあるはずである。 今後の売り上げが倍や3倍になるのは、今後の頑張りでいくらでも可能である。 というものです。
この話を聞いても、うーん、負け惜しみだな、シュリンクしてゆくマーケットにしがみつくより新たなマーケットを探したほうがいいではないか、と思いました。
しかし、M&A先の話を聞いて、この方の意見は正しいと訂正しました。 こんな意見です。年賀状のマーケットは小さくなっていると言われるが、弊社の売り上げは上がっているから全く感じないんだよ。 これを簡単な算数で証明してみます。 年賀状マーケットが5年前は100ありました。当社のシェアは10%でした。売り上げは10です。 現在はマーケットが縮小して60になりましたが、当社は頑張ってシェアを20%にしました。 さて、当社の売り上げはいくらでしょう? 12です。5年前に比べて売り上げは20%伸びました。
もちろん、縮小していゆくマーケットで売り上げを伸ばした会社があれば減らした会社はたくさんあります。 撤退した会社もあることでしょう。 しかし、少数とはいえシュリンクしてゆくマーケットでも元々のマーケットサイズが大きければそのなかで生き残るだけでなく売り上げを伸ばしてゆく会社が出てくるということもあります。 簡単ではありませんが撤退か変わる以外に、既存マーケットで頑張るという選択肢もあるということです。 #
by mixa_suwa
| 2017-02-20 15:11
| ストックフォト
2017年 02月 13日
![]() 先週、日本写真エージェンー協会(JPAA)の第9回JPAAフォーラムが開催されました。 TBSの法務担当局長を講師に迎え、テレビ局で起こる著作権問題を興味深くお話しいただきました。 コンテンツビジネスにかかわる人にとっては役に立つ内容でした。
私は理事を務め、フォーラムの企画を担当する事業委員でした。過去形なのはマイザから離れると同時に理事職も退任したからです。
JPAAは商業用写真を写真家から預かり、クライアントへ貸し出すという代理店業務を行う会社の団体です。 この写真エージェンシー、最盛期には日本だけで100社を超え、JPAAに加盟している社も80社を超えていましたが、現在は約30社に減ってしまいました。 純粋にフォトグラファーから写真を預かって貸し出すという代理店業務(エージェンシー業務)だけに専念している会社はほとんどありません。 ポジフィルムからデジタルデータに代わり、RMだけでなくRFも扱いビジネスの領域を広げていったにもかかわらずです。 この数字を見るだけで、レンポジ屋はほぼ消滅した、と判断できます。 加盟社が減っていく中でいかに協会活動を活発化してゆくか、現理事もここに頭を痛めていることでしょう。 と、他人事のように書いていますが、先月までは私も活性化案を考えていたのでした。
このように書くと、ストックフォトの未来は真っ暗のように思えます。 現に私がマイザをM&Aしたのも、とっくにピークアウトした事業にしがみつくのも限界と考えたからです。
しかし、引継ぎを行うなかで感じたのは、自分が行ってきた素材集CD-ROMビジネス、プレミアムRFストックは限界にきているもののストックフォト全体がなくなってしまうということはない、ということです。 たしかにコンテンツが供給過剰の状態になり単価は下落しました。そうした状態のなかでマイクロストックの伸長があります。
日本のマーケットが残念なのは、ストックフォトが安くなってもマーケットが拡大していないことです。 通常、どのような商品でも価格が下がればプレミアムからコンシューマー商品となり普及するはづです。 ところが、日本の場合はストックフォトを使うのは相変わらず印刷会社、デザイナー、web制作会社にプロにとどまっています。
日本のストックフォトマーケットの規模はドイツの半分、フランスよりも小さいと聞きました。 GDPや人口比で考えればおかしいです。 その理由は欧米ではエンタープライズといわれる企業、団体で使われることが多いが、日本の企業はストックフォトを使わない、そうしたマーケットがないから、という意見も聞きました。
こうした取り込めていない未開拓のマーケットがあります。 こういうマーケットを開拓していくような会社が現れてほしいものです。 #
by mixa_suwa
| 2017-02-13 09:57
| ストックフォト
2017年 02月 08日
![]() 書籍編集を仕事にしながら日本画家という一風変わった友人がいます。 彼のことを私は画伯と勝手に呼んでいます。 この画伯は数年前に長年事務所を構えていた神楽坂を離れて湾岸地区に移ってしまいました。 画伯は私と同じく京都に縁の深い人ですので、東京にしては珍しく上品な和の香りが漂う神楽坂が大好きだったので、移転のことを聞いたときは驚きました。 どうして神楽坂を離れるのかを聞いたところ、 「だんだんつまらない街になってきたよね。古い個人経営のお店が減っていき、チェーンの飲食業ばかり増えてきた。生活の場じゃなくて観光地になってきた」 感性で仕事をする人ですので、街の変化に敏感だったのでしょう。
それから数年。画伯が離れた頃よりも一段と神楽坂は俗っぽくなってきました。 ドラマの舞台になったころから、やたらテレビ、雑誌で取り上げられるようになりました。 商店街がやたら混むようになりました。人気の街になったのです。
ずいぶんと客層が広がりました。中高年の女性、フランス人が目立った街が、若者もアジア系外国人も多い、まあ東京の繁華街ならどこでもそうであるような街になってきました。
仕方がありませんよね。お堀の反対側にできた大きなビルには大企業の本社がいくつも 移ってきました。帰宅時にはそこで働く人が神楽坂下の交差点でごった返しています。 大学も都心回帰で埼玉にあった学部を神楽坂に移しました。 専門学校に通う中国人留学生の多さは驚愕ものです。 地味な理系男子学生ばかりが歩いていた街が今時女子と中国人女子が闊歩するようになりました。
私も神楽坂を離れることを伝えると、久しぶりに画伯が訪ねてきました。 「画伯の言ったとおりになってきたよ。チェーン店ばかり増えて、人だけはやたら増えてきた。ずいぶんと魅力が薄れてきたよ。画伯の決断は正しかった」と私。 画伯はそうだろう、言ったとおりになったと自慢するかと思っていたら、 「でも、たまに遊びに来るにはいい街だ」 今後の神楽坂との付き合い方を教えてもらいました。 馴染みのお店もどんどんなくなり、街も訪れる人も変わってゆく、それでも“らしさ”は残っている。月に2,3回食事するなら楽しい街であることには変わりありません。 さらば、ではありません。末永く細くおつきあいいたします。 #
by mixa_suwa
| 2017-02-08 11:15
| 石神井日記
2017年 02月 02日
![]() 現在公開中のマーチン・スコセッシ監督作の「沈黙」についてのブログです。 1月2日のNHK BSで2時間にわたってこの映画の特集が放映されました。 この番組で興味を持った私は原作を読んで、映画の公開に備えました。
遠藤周作の原作、読まれたことありますか?私は初めて読みました。 情けないことですが、マーチン・スコセッシが撮らなかったなら読まなかったでしょうね。 いつもながら外国で評価されてから、日本の素晴らしさに気がつく。 払拭したつもりでも欧米コンプレックスは身についたままです。 遠藤周作といえば“狐狸庵先生遠藤周作 ダバダバダ、ダバダー”でネスカフェのコマーシャルしか覚えていなかったです。 北杜夫と仲良く、ユーモア小説の作家だとばかり思っていました。
50年前に書かれた作品ですが、今どきの小説とはまったく違います。 伏線が張り巡らせてあったり、ドンデン返しがあって、うーんそうだったのかと唸るようなところはありません。 誰でもがこのように展開するだろうと予想した通りにストーリーは進み意外感はまったくありません。 しかし、異常な緊張感と巧みな描写が読者にも痛みを感じさせながら読ませます。 エンターテイメントを排したシリアスな作品、キリスト教徒でなくても宗教とはなんぞやと大きな課題を突き付ける傑作です。 もっと早くに読んでおけばよかったと後悔。
傑作の原作をかなり忠実に再現しているのが映画です。 公開2日目に行ったのですが、観客のほとんどが団塊の世代、つまり初老の方ばかりです。 そうか、俺もその一人になりつつあると自覚しました。
で、肝心の作品。俳優たちはよくこれだけ過酷なロケを耐えたなと感心することしきり。 マーチン・スコセッシの作品らしく緊張感漂う描写と壮絶な暴力シーンがふんだんで観客にも痛みと厳しさが伝わってきます。 観て楽しい、幸せな気持ちにはなりません。 彼の過去の作品のなかでは、ギャング・オブ・ニューヨークに一番近いな、というのが私の印象です。 興業としてはさほど成功するとは思えませんが、傑作であることは間違いないです。
50歳を過ぎてから、やたらと宗教に惹かれるようになりました。 神道に仏教にキリスト教と脈絡なくですが。 なぜ仏教は2500年も続くのか?キリスト教は2000年も続くのか? いつの時代でも人々が求めているものであるからでしょうね。
この映画の背景、400年前の日本でも信仰に救いを求める人がいて、それを伝える人がいて、さまざまな弾圧と葛藤があった。 大きな課題を突き付ける作品であることも間違いありません。 イッセー緒方がアカデミー賞を取れるといいですね。
#
by mixa_suwa
| 2017-02-02 11:48
| 石神井日記
2017年 01月 30日
![]() 今までは会社折半での負担でしたので、多少は負担が増えるなと思っていたら、多少どころではありません。 年額90万円になると言われて絶句しました。 「90万円かあ…、月7万5千円とは大きな負担だな、健康だけは自信があるので医者にかかることは滅多にないのにこんなに払わなくちゃならんのか…。」と心の声。 顔に出たのでしょう。済まなさそうに役場の人が説明してくれます。 「国民保健の金額は、前年度の年収によって決まるのです。従って、高いお給料をいただいていた方が退職して国民保健に入られるとこのような金額になってしまうのです。」 「そういう制度になっているのか、なんだよ住民税と同じか…。税金なら仕方ないけど、保険は納得しがたいなあ…。」再び心の声。 続けての説明。 「本当に入られますか?一度入られますと、他の保険に加入する以外の理由で脱退することはできませんよ。」 え?国民皆保険制度のわが国なのに、加入の意思確認するとはどういうことだ?ポカンとしてしまいました。 「高い収入を得られていた方でこの保険料をお聞きすると、お怒りになる方が多いのです。収入がなくなるというのに、どうしてこんな金額を払わなくてはいけないのか?と」 はあ、たしかに怒る人の気持ちも分かります。 「また一度入られたら抜けられないことを知って、どうして事前に教えてくれなかったのかとお怒りになる人もいらっしゃいます」 なるほど、後で怒鳴りこまれるのがイヤなので、保身としてこういうことを説明しているのです。 では、このド高い保険料を払わないようにするには、どうすればいいのか? もちろん、こんなことは面と向かって教えてくれるわけはありません。 でも、国民保険料は前年の収入によって決定されるということが分かったので対策は考えられます。 1年間どこかの企業で低収入で働くか、あるいは無職で保険に入らず1年を過ごし、翌年から加入すればいいのでしょう。 しかし、皆保険の建前からすると、後者はあきらかにおかしいなあ?こんなことは許されるのか? こういうクダラないことを考えていると、これは制度がおかしいと思いました。 たしかに収入がなくなるのに、高額の保険料を払わなくてはいけないのは納得しがたいものがあります。 保険なら現在の収入に応じて金額が決めて欲しいものです。 民間の保険なら、補償に応じて保険料が決まりますから、これと同じにして欲しいです。 こちらのほうが公平な負担ではないでしょうか。 保険制度はおかしなところばかりです。 以前加入していた印刷製本健保では後期老齢者への負担が得られる収入の50%に達しています。 組合員の支払う保険料は、自分のためではなく半分を75歳以上の高齢者の医療費に使われています。 これは以前にブログでも書きましたので、これ以上は書きませんが、おかしいですよね? 取れるところから取りながら、保険制度は大幅な出超です。 受益と負担のバランスが取れていないのが原因ですが、払う側すると納得できませんね。 #
by mixa_suwa
| 2017-01-30 09:30
| 石神井日記
2017年 01月 23日
![]() しかし日本での人物写真は相変わらずいかにもなストッキーな人物ものが主流でした。 ニコパチと揶揄される、きれいなモデルが背景すっきりでカメラ目線で不自然なくらいに笑っている写真が相変わらず幅を利かせています。 私も数年前にノットストッキーな写真に取り組みましたがうまくいきませんでした。 いつも通りにプロのカメラマンにストックフォトを制作するスタッフが、それっぽい写真を撮りました、というだけに終わったのでした。 欧米から遅れて5,6年。日本でもノットストッキーな写真が登場するようになってきました。 ノットストッキーという切り口ではなく、instgramのような写真という表現で。 最近、instagramの写真をネットの媒体で使いたいという要望を聞くようになりました。 もちろん著作権管理のしっかりしているデザイナーさんでしたらネットからいただき、なんてことはしません。 どうするのか?ストックフォトでそれらしき写真を探すのですが既存サイトではなかなかお目当ての写真はありません。 つまり、このご時世には珍しく供給不足の状態です。 ここにビジネスチャンスを見出したのが、マイクロストックのPIXTAがM&Aしたsnap martという会社です。 以前のブログでも紹介したのですが、インスタグラムのような写真をフリマで売買する仕組みを作りました。 しばらく、ここのサイトをチェックしていなかったのですが、あるエージェンシーの方とインスタグラムのような写真の話題が出たので久しぶりに覗いてみました。 ふーん、インスタグラムみたいでしかも広告に十分使用できる写真が並んでいます。ブレイクしそうですね。 気がつきました。 ノットストッキーはプロカメラマンが一眼レフで撮影するのではなく、アマチュアがスマホで撮ることで実現したのです。 ようやく日本でも環境が整いだしたということですね。 さて、snap martは競合するサイトが出てくるのでしょうか?出てきて欲しいですね。 マーケットは競争し合うことによって大きくなるものです。 需要と供給がうまい具合に伸びていけばいいですね。 お話し変わって、どうしてこのブログが続けられることになったのかを説明します。 このブログはマイザ株式会社の社長であった諏訪が、マイザの広告宣伝のために書いていたものです。 もちろんビジネスに関わることだけで書いたわけではありませんが、このブログを読んでもらいひとりでもマイザに興味を持っていただくことを目的にしていました。 それでは、このブログの著作権はだれにあるのか? 法人としてのマイザにあります。このブログは諏訪のものではなく法人著作物となります。 これは弁護士の先生にも確認しました。 ですから諏訪が勝手にこのブログを書籍にすることはできません。まあそんなことは起きませんが。 幸いなことに、株式譲渡先からそのまま継続してもいいよと許諾をいただきました。 それで、続けることにしたという次第です。 こんな拙い文章でも一応は著作物。著作権でメシを食わせてもらったものとしては、知的財産の扱いはおろそかにしてはいけません。 #
by mixa_suwa
| 2017-01-23 11:13
| ストックフォト
2017年 01月 20日
![]() 唐突の最終回であったためか、意外に思われた方が多かったようです。 終了としたのは、さすがに長年続けてきて、そろそろ潮時だなと感じたからですが、もう一つの理由というか本当の理由は私が社長ではなくなったからです。 ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、私は昨年12月16日に所有するマイザ株式をソースネクスト株式会社に譲渡しました。あわせて代表取締役を退任しました。 現在は顧問という肩書で1月末まで引継ぎ業務を行っている最中です。 勘違いされた方もいらっしゃったのですが、マイザはソースネクストに吸収合併されたのではありません。 ソースネクストの100%子会社として従前からの業務を引き続き行っています。 単に株主が変わって、代表取締役が変わったというだけで、会社はそのままです。 と説明をしなくてはいけないくらいにマイザ=諏訪と思われていたようです。 だから会社が大きくならなかったのだと反省したりもします。遅すぎますね。 お世話になったところに伺うと、たくさんの方にあいさつさせていただきます。 多くの方にブログを続けてくれとリクエストをいただきました。 あるいは、次の会社は早く立ち上げてくれとの声もいただきました。 そうかそんなに俺は存在感があったのかと自惚れてしまいましたが、皆さんの表情を見ていて、これは勘違いだなと思いなおしました。 もちろん長年仕事をしてきた私への労りのお気持ちもありますが、それだけではないようです。 こいつはストックフォトを見捨てるのか、自分はストックフォト業界にこのままとどまっていていいのか、と自らの仕事に対する 疑問が顔に出ているようです。 私がそんな疑問に答える資格も能力も経験もないのは重々承知しています。 しかし、お世話になった業界に対して恩返しになろうがなるまいが知っていることは伝えておくべきと思いなおしました。 動きの速い業界ですから、私の持っている情報や知識もじきに陳腐化していきます。 ストックフォトエピソードを書けるのもさほど長くはありません。 短い延長戦を戦おうかと決めました。 そういうわけで、近いうちにブログ「神楽坂で働いた元社長のぶっちゃけ話」を始めることにします。 乞うご期待! #
by mixa_suwa
| 2017-01-20 09:57
| 神楽坂日記
2016年 12月 19日
![]() このブログは2008年9月から始め、足掛け8年3か月、873回の長きにわたってほぼ週2回アップしてきました。 このような駄文をたくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございました。 深く感謝いたします。 少しでもストックフォトビジネスのことを多くの方に知ってもらえれば、とブログブームに調子に乗って軽い気持ちで始めました。 知り合いくらいしか読んでくれる人はいないだろうから、まあ1年でも続けばいいやと思っていました。 まさかこんなにも長く続けることができたとは望外の喜びです。 読んでるよ、楽しみにしていると直接お会いした方からの励ましのお言葉をたくさん頂戴いたしました。 素人の拙い文章を、これだけの方が読んでいただいているのだとずいぶん励まされました。 ある会社では、ほぼ全員が読んでいる、ストックフォトの教科書にしているとのお言葉を頂戴しました。 ありがたいけれど、こんないい加減な文章をそんなふうに思ってもらえるとは、と逆に委縮してしまいました。 また、ご批判やお叱りの言葉もたくさんいただきました。 ご気分を害するような記事もたくさんあったことでしょう。 ストックフォトビジネスの足を引っ張るような記事があったことは否めません。 この場を借りてお詫びするとともに、厳しいご意見をいただいたことにも感謝いたします。 どうやら潮時が来たようです。 最近は同じようなネタが多くなってきましたし、後ろ向きな愚痴ばかり増えてきました。 なんだか、役割は終わったなあ、と感じるようになりました。 卒業させていただきます。 長い間のご愛読、ほんとうにありがとうございました。 #
by mixa_suwa
| 2016-12-19 10:04
| 神楽坂日記
2016年 12月 12日
![]() 12月5日の日経新聞から引用します。 “特定のテーマの情報をサイト上でまとめる「キュレーションサイト」で、記事を削除する動きが相次いでいる。 すでに問題となったディー・エヌ・エー(DeNA)だけでなく、リクルートホールディングスやサイバーエージェント、ヤフーも誤りや著作権侵害がある記事の公開を中止した。質よりも量を優先し、品質管理が不十分な記事が広がっていたことが明らかになってきた。“ 2か月程前に「キュレーションメディア依頼の実態」というタイトルで、この手の仕事の危うさについて書きました。 http://mixaphoto.exblog.jp/25962293/ それがネットだけでなく、日経新聞などの大手メディアにも取り上げられるようになりました。 嘆かわしいですね。 ディー・エヌ・エー(DeNA)、リクルート、サイバーエージェント、ヤフーといえば日本を代表するIT企業です。 こんな大企業がコストを抑えるために、著作権侵害を推奨したり、翻案権に触れないような指南をするとは…。 コンプライアンスという言葉はどこにいったのでしょうね? 記事にあるような“品質管理が不十分”というレベルの話しではないですね。 厳しく表現すれば、著作権侵害という犯罪行為を助長している、と言ってもいいでしょう。 もちろん、著作権侵害を実際に行ったのは、依頼されたライターなりデザイナーですから、指摘された企業は管理が不十分だったということになります。 まあ管理は不十分であったから削除はしますし、指摘されれば謝罪をして、今後は気をつけるということを表明するのでしょう。 と、ここまで書いたところで、大きく展開がありました。 12月7日にディー・エヌ・エー(DeNA)が謝罪会見をし善後策を発表しました。なかなか対応が速いです。 文章であろうが写真であろうがイラストであろうが、キチンとした著作物を作るのであればプロの仕事が必要となります。 専門の知識、積み重ねた経験、それがあるからこそ対価をいただける著作物ができあがるのです。 それをパクっておいても知らぬ顔、指摘されれば削除して、それでおしまい、ですませたくはないですね。 これは法律に触れるんじゃないか?と思われるビジネスでも、サイバー空間では法律は関係ないんだよー、と開き直っているように見える会社があります。 こうしたサイトの言い訳は想像できます。 無償のサイトだよ。広告収入しかないんだ。たくさん記事をアップしなければアクセスが集まらない。記事1本にかける予算は少ないに決まっている。 安価で記事を集めなければ採算に合わないんだよ。 だから、無償か格安のコンテンツを集めざるを得ない、ということになります。 腹立たしい。お前たちの仕事のためにコンテンツクリエーターを犠牲にしてもいいのか? いいわけがありません。 写真やイラストをキュレーションサイトに無断で使用されたら、どうすればいいのでしょうか? 先ずは請求することですね。泣き寝入りしてばかりではいけません。 #
by mixa_suwa
| 2016-12-12 09:30
| ストックフォト
2016年 11月 25日
![]() 昔なら底辺校と呼ばれていました。 Fランク大学のおバカな学生の行状はオモシロ可笑しくマスコミネタにされます。 週刊誌やネットでの定番ネタといっていいでしょう。 今の大学はこんなヒドイことになっている!こんなレベルで大学生?という調子で上から目線で書かれることが多いです。 読む方も、ひどいものだと嘆きながらも、バカだねえとエンターテイメントとして楽しんでいます。 本日、ご紹介するのは「Fランク化する大学 音真司/著 小学館新書」です。 https://www.shogakukan.co.jp/books/09825281 この本は、Fランク大の学生の行状だけを取り上げているのではなく、教員、経営者全てが劣化している実態、すなわちFランク化してゆく現状を著者の体験を交えて批判、提言しているものです。 冒頭に書いたようなおもしろネタの羅列だけを期待しては裏切られますので、ご注意ください。 著者は、教育の専門家ではなく、長年企業に勤めた会社員でした。本書はビジネスマンの経験のある著者が5年間の大学教員時代に経験したことをベースに書いたものです。 ビジネスマン目線から見たところが、教育の専門家のものとは違うのでしょう。 注意しないといけないと思ったのは、これは彼が体験したものであって、この内容がFランク大学で一般的なものかどうかは判断できないことです。 真実であるけれども、ここに書かれたことがFランク大学全てであるとは言えないでしょう。 彼の体験に基づいたものであり、それ以上でもなければそれ以下でもありません。 提言は、このようなものです。 「Fランク化」する大学をこれ以上増やさないためには、市場の原理にかけて、増えすぎた大学の中でも、質の低い大学や、小手先の手段を使った受験生集めに走る大学を淘汰するしかない。」 この提言を考えるに至った経緯をさまざまなエピソードを交えて語っているのが本書です。 グローバリズムというか市場原理主義というか新自由主義というか、そういったもので解決を図れ、というわけです。 これはEランク以上の大学以外は存在しなくてよい、という主張です。 なんだかTPPの農業分野の議論みたいです。 教育も他の産業と同じように優勝劣敗でいいのかな?と素朴に思います。 Fランク大学にも存在価値はあります。 教員、職員の雇用の場になっていますし、下宿、交通機関、建物の管理などの仕事が発生します。 つまり産業になっていて、地域経済に恩恵をもたらしています。 大学のおかげで生計を立てている人がたくさんいることも事実です。 Fランク大学は淘汰されてべき、などと単純に決めつけられないような気がします。 ところで、どうしてこんなにも大学のことに興味津々になるのでしょうね? 私は大学を卒業して35年も経っているし、子どももいないので、現在の大学に興味を持つ必要はありません。 それでも、母校の後輩の活躍は気になるし、偏差値が上がった下がったという記事で一喜一憂してしまいます。 たしかに友人は大学時代の友人がもっとも多いですしね。 長い人生のなかで特別な時代だったんでしょうね。だからこそ大切にしなくてはならないのでしょう。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-25 09:30
| 神楽坂日記
2016年 11月 21日
![]() モノをぞんざいに扱う、というニュアンスで私は使っています。 ネットによれば、雑に、無駄に、の意味とあります。 濁音が連続して、いかにもモノを大切に扱わないことが音感でも分かります。 質素、始末屋という名古屋人気質がよく表れていて、お気に入りの単語です。 子どもの頃に、おもちゃを手荒く扱っていると親から「だだくさにしてかん」と怒られたものです。 小学生の頃、教科書、ノートを放っぽりだすと「また、だだくさにしとる」と小言。 名古屋を離れて40年になりますが、子どもの頃に身に着いた習性は忘れません。 服、時計、カバンは他人から見ると大切に扱っているようです。 ようです、というのは当人は普通だと思っているので自覚があまりないのです。 今ハマっているのが、靴、時計、洋服の再生というかリペアです。 履かなくなった靴、身に付けなくなった時計、着なくなってしまった洋服をきれいにしてパーツを取り換えて再び使用することに無上の喜びを感じてしまいます。 そんな具合ですから、20年、30年前に買ったものを今でも身に着けています。 先日も30年以上前に買ったサドルシューズの紐を替え、キレイにして再び履きだしました。 行きつけの床屋の兄ちゃんが目ざとく見つけてくれたので大満足です。 正直なところ、捨ててしまって新しいものを買い直したほうが経済的です。 手間とお金をかけたところで新品に戻るわけではありません。 しかし、モノに愛情を注ぐ、大切にするということが好きなのでしょう。 この“だだくさにせん”習慣、自分だけにしていればいいのですが、他人の行いにも目がいってしまいます。 社員が会社の備品をぞんざいに扱っていると、やたら腹が立ちます。 何度も怒鳴りつけて、後で後悔しました。 「今どきの子に、こんなケチくさいことを言っても仕方ないな」と。 過剰にモノがあふれて、使い捨ての世になってずいぶん長くなります。 名古屋でも“だだくさ”という言葉は使わなくなっているのでしょうか。 でも、いくらお金があっても、モノを大切にする、というのは美しい習慣だと思います。 “だだくさにしたらかんよ”親から子へ、この小言が伝わっているといいですね。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-21 09:30
| 神楽坂日記
2016年 11月 18日
![]() 無地のものばかりかと思っていたら歌舞伎の隈取を模したものが出ました。 おばちゃんたちの間ではSNSにフェースパックの自撮り写真をアップすることが流行っているようです。 付き合わされる旦那にとっては迷惑なことでしょう。 先日、写真を撮ってフェースブックにあげると渡されたのが、アメリカのハードロックバンド「KISS」のメークを象(かたど)ったフェースパック。 「へー、これってロイヤリティーがバンドに入るのだ」と驚きました。 しっかり儲けているんでしょうね。11月7日の日経新聞にリーダーのジーン・シモンズのインタビューが載っています。 タイトルは「KISS」はビジネスだ。 リンクが張れないのは残念ですが、あけすけ過ぎて抱腹絶倒です。 曰く、“ミュージシャンの多くは嘘つきだ。芸術を追い求めているって?カネと女が手に入らなくても続けるだろうか。 自分は最初から音楽ビジネスを始めるつもりだった。……。“ いいですね。私はバンドを金儲けのためにやっていると堂々と言う人間が好きです。 売れない理由を、お金のために音楽をやっているんじゃない、と言葉をすり替える奴が嫌いです。 プロを名乗る以上、お金儲けのために仕事をするのが当たり前です。 趣味ではなく仕事であるなら、お客様のために一生懸命頑張るのがプロのミュージシャンです。 クレージーケンバンドの横山剣も堂々とお金のためにやっておりますとライブのMCで言っていました。 それを聞いて、一層好きになってしまいました。 続けてジーン・シモンズ曰く“ビジネスで大事なのはブランド化だ” よくわかっていらっしゃる。 “…、ロゴマークを印刷したコーラ、おもちゃ、文房具、傘…。自分たちをキャラクターにした商品が全世界で売られている” ですから、KISSのメークを象(かたど)ったフェースパックにも当然ロイヤリティーは払われているのです。 ジーン・シモンズの懐にも少しお金が入ったことでしょう。 生い立ちにも触れられています。 “イスラエル生まれのユダヤ人で英語も話せず貧しかった。” 貧乏の怖さが身に染みて分かっているのですね。 ですから、お金のありがたみがよーく分かっているのでしょう。 “だから、常に仕事をしている。商談の時間をつくるくらいわけない。成功の鍵はどの分野、どの企業と組むか。すべてはネゴシエーション次第だ。“ なるほど、商売人です。商売人を上品に表現すると実業家ということになります。 今春、発売されたビジネス書「KISSジーン・シモンズのミー・インク」を読んでみたいです。 ところで、KISSの曲といえば、私にとってはハード・ラック・ウーマンです。 もう40年も昔、1976年にリリースされたものです。 まだ現役でしかも実業家としても成功したジーン・シモンズ67歳。偉い奴です。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-18 09:30
| 神楽坂日記
2016年 11月 14日
![]() 今、注目の著作権セミナー。知っておくべき画像の権利とは?がタイトルのアマナイメージズの佐々木取締役のインタビュー記事になっています。 こちら。http://blog.jpaa.gr.jp/?p=557 今回のブログはストックフォトに関わっている人間にとってはメチャクチャ役に立ちます。 何度でも読み返していただきたい内容。超おすすめです。 著作権セミナーはさまざまなところで開催されますが、主に講師は弁護士のケースが多いです。 この場合は法律のことは当然詳しいのですが、現場の事情を考慮されないこともあって、ストックフォト事業の従事者やストックフォトの利用者には物足らないこともあります。 他に多いのはテレビや放送に携わる方のセミナーです。 マスメディアに登場する作品をネタにするのでおもしろいのですが、ストックフォト事業者にドンピシャというわけにはいきません。 その点、こちらのセミナーはストックフォト業界の最大手アマナイメージズで20年以上活躍する佐々木さんが講師です。 ストックフォトの現場を知り尽くした方ですから、まさにドンピシャです。 このインタビュー記事を頭に入れれば撮影時の注意事項やストックフォトを使うときにも役立つことでしょう。 このインタビューの内容はアマナイメージズのキラーコンテンツです。 佐々木さんが長年の実務で得たネタを披露しているのですから。 これを無料で教えてしまっていいのか、と心配してしまうくらいです。 心配しながら、こういうブログを書いてしまっているのでは世話はないですが。 ということで、JPAAブログのご紹介でした。 JPAAブログは毎回役に立つ記事が掲載されます。 ご愛顧をお願いいたします。 JPAAの回し者でした。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-14 09:30
| ストックフォト
2016年 11月 11日
![]() 10年程前まではテレビでもバンバン露出していた著者ですが、最近は見かけません。 しかし文筆活動は相変わらず旺盛のようですし、大学の経営とかコンサルタントとしての活動も活発にされているようです。 出版社からの紹介はこちら。 https://www.shogakukan.co.jp/books/09825286 低欲望社会。クルマを欲しがらない若者、出世意欲のない新入社員がスタンダードになってしまった日本のことをうまく表現しています。 こうした事態に陥って、このままでは暗い未来しかない。打開するには規制緩和だ、と新自由主義の権下らしい内容です。 安倍政権、官僚制度の批判とお手本とすべき欧米の諸策を紹介しています。 70歳を超えても変わらずアイデア豊かで健在ぶりに感心しました。団塊世代の価値観を代表しています。 いつものように本書とは関係のないエピソードになります。 低欲望社会で思い出すのは、パシフィコ横浜で開催された大規模な投資セミナーに参加したときのことです。 シンガポール人の講師が自分の成功体験と滔々と語っているとき、聴衆を煽るようにこう叫びました。 「皆さん。フェラーリに乗りたくないですか?クルーザーを持ちたくないですか?」 観客は無反応、水をうったようにシーンとしています。 講師はどうしたらよいのか分からず戸惑っているようでした。 おそらく日本以外の国ならイエス!とかイエー!とかの反応が返ってくるのが当たり前なのでしょう。 私も投資には興味はあるが、別にフェラーリに乗りたくなんかないし、クルーザーなんか持ちたくもないという気持ちでだんまりでした。 聴衆は30代から40代が主流、私と同じような考えだったから無反応だったのでしょう。 日本人は大金持ちになって、その象徴であるようなフェラーリやクルーザーを所有したいなどとは思わないんだなと思いました。 投資には興味があるが、ほどほどに稼ぐくらいで十分満足してしまうのでしょう。 小欲、すなわち低欲望社会であることを実感しました。 ITバブルが弾けた時期だったのかもしれませんが、ギラギラした成金にはなりたくないのでしょう。これも低欲望社会のひとつの現象です。 「皆が等しく貧乏になる国」で本当にいいのか?帯にはインパクトのあるコピーがつけられています。 期待している反応は、そんなわけない、です。 そうならないための答えが、「不安」をなくせばこの国は甦る!という帯のコピーになるわけです。 著者は新自由主義の権下ですから、世界と競って勝ちを取りに行き豊かになるべき、という考えです。 でも「皆が等しく貧乏になる国」のほうが「一部のお金持ちと大多数の貧乏人の超格差国家」よりも良いと大多数が思っているから、現在の状態になっているのではないでしょうか? もちろん、こんなことを自問するわけではありませんが、貧乏はいやだけど、格差がひどいほうがもっといやだ、という消極的な選択をしているように思えます。 ゲームから降りる、という表現があります。 闘いを放棄して敗者になることを受け入れることをいいます。 著者は日本の若者がこのような状態であることを嘆いています。 しかし、人と競わず、責任も持たず、頑張りはしない、ということに幸せを感じているなら、それでいいのではないかとも思えます。 ゆっくり衰退する社会のなかで、微笑みながら衰弱していくものひとつの国のありかたではないか、とも思います。 清貧ということが尊ばれる社会であるなら、低欲望社会であるのも仕方ないと思うのです。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-11 09:30
| 神楽坂日記
2016年 11月 07日
![]() 正直なところ、前向きのお話しは少なくて、心配と愚痴、後ろ向きのお話しが中心となります。 まあ仕方のないことかもしれません。 我々昭和30年代生まれは団塊の世代ほどではありませんが、やっぱり恵まれた世代だとつくづく思います。 高度成長の恩恵を十分に受けて育ち、就職するにも苦労なく社会人になりました。 バブルが崩壊するまでの好景気の果実も受け取り、デフレ時代になっても高止まりした給料が既得権として残り、エエ目をしました。 経済の成長を知らない就職氷河期以降に社会に出た世代と比べると、恵まれすぎです。 そんなエエ目している世代の友人関係の範囲で観察すると、恵まれた人生を送っているなと思われる人間には共通項があります。 新卒で上場企業に就職し、転職せず生涯を一企業で働いている奴です。一昔前の終身雇用時代と同じです。 このように書くと、なにを寝ぼけたことを言うのだ。今や大企業だって安泰ではない、終身雇用などとうの昔に終わっている。 希望退職はあるし、給料だって下がっているのだと反論されます。 しかし、大企業から中小企業に転職した人、自営業の人、あるいは小さな会社を経営している人と比較すれば、その恵まれようには大きな差があります。 確かに、10年前、20年前と比較すると上場企業といえども状況は厳しくなっていることは否めません。 でも、われわれアラ還は年金生活まであと数年、ほぼ逃げ切りです。 お前たちだけイイ目しやがって、と後ろ指をさされようが、後の世代のことは知ったこっちゃないと無責任に思えばいいのです。 先日メルマガを読んでいたら、事務所が1か所なので転勤がないことの不満が書かれていました。 私は何度も引越しを伴う転勤をしましたが、転勤が恵まれているとは思わなかったです。 でも、知らない環境で生活できることは、どれだけ恵まれていたことだったと今にして思います。 ましてや外国に駐在するなんてことは大企業でしかありえません。 楽しかろうが苦しかろうが、貴重な経験になります。恵まれていますよ。 外国の出張だって、中小企業に勤めていてはほぼ可能性はありません。 これも当人が苦しかろうが、嫌であっても、それだけの経費を使える機会が与えられるだけでも稀有なことです。 上記は一例ですが、給料の差、福利厚生の差などはあげればキリがないくらいです。 勤めるなら労働組合の強い大企業とは、ナニワ金融道の故青木雄二先生の教えですが、本当にその通りだと思います。 私は独立して中小企業のオヤジになったことに一片の悔いもありませんが、同期や同僚には勧めません。 上場企業の社員でいることが一番賢明であることは明らかです。 これは数年後には還暦を迎える世代にとってはという限定ですが、会社にしがみつくのがベストです。 寄らば大樹の陰、というのがアラ還世代にはまだまだ通用するというお話しでした。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-07 09:30
| 神楽坂日記
2016年 11月 04日
![]() 「料理を趣味としろ。くだらないことに休日を使うより、おいしいカレーライスをつくってみろ」 当時は男子厨房に入らずなどという言葉がまだ残っている時代、クッキングパパも始まる前のことです。 「おいおい勘弁してくれ。休日の過ごし方まで口を挟んでくるのか」と反発しました。もちろん面と向かっては言えませんが。 同期数人と集まって「誰がカレーなんか作るんや。くだらんことばかり言いよるわ、あのオッサン。」と悪口で盛り上がりました。 「お前、作るか?」「作るわけないやろ、あほらしい。」と、新人の間では上司の指示に従わないことでコンセンサスが取れました。 ところが、翌週月曜の会議で同期の一人が、はい!と手を上げ発言します。 エヘラエヘラと口のしまりが悪い笑みを浮かべながら、彼は報告します。 「私は土曜日にカレーを作りました。おいしかったです。」 恐ろしい上司は、目を細めてそうか、そうか、とうなずいています。 私はうつむいたままです。 「こいつ。汚ないやっちゃなあ。同期を出し抜いて、お愛想を振りやがる。」と私は彼を軽蔑しました。 その後、上司に平気で反発する私はあっという間に地方営業所に転勤、ドサまわりが始まります。 エヘラエヘラのごますり同期は順調に出世してゆきます。 十数年後、ドサまわりを終え本社に戻った私にある人がアドバイスをしてくれます。 「あのなあ、うちの会社で出世しよ思たらなあ、会長に愛(う)い奴や、と思われなあかんのや」 丁稚、ドサまわりで十分にいろんなことを経験した私は新入社員の頃とは違います。 「まあ、そんなもんだ。どこの会社でもあることだ。実力で決まることのほうが珍しい」と思えました。 それで経営層を観察します。なるほどゴマすりがうまい人がたくさんいます。 ヨイショ四天王、別格総本山と呼ばれる方々の行動を分析しました。 分かったことがあります。基本は言われたことには、決して口答えをせず、素直に従うこと。 自分の意見は求められた場合を除いて発言しない、いわゆるイエスマンになることです。 理不尽な指示であっても、ご説御尤もと反発しないことも含まれます。 いじめにも思われるような発言にも耐えて不平を漏らさないこと。 このことを確実に守り続けることができることが大切です。 この方々を見て、俺には無理。まったく才能がない、と諦めました。 それと、周りからどう見られようと堂々とヨイショできる人を尊敬しました。 これは揶揄で言ってるのではありません。 ゴマをするにも才能はいるし、素直に言われたまま、仮に自分の意向とは異なっていても、に行動するには努力と資質が必要になります。 こうした能力は官僚のような組織のなかで生きるには絶対に必要です。 しかし、誰でも備わっているかといえばそうでもない。 私のように一言居士(いちげんこじ)では到底できることではありません。 愛い奴、と思われるにも才能と努力が必要というお話しでした。 #
by mixa_suwa
| 2016-11-04 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 31日
![]() 若かりし頃、強烈に恐ろしい上司が私たちを前に言い放った言葉です。 怖い上司は、料理は高尚な趣味になる、くだらないことで休日を過ごすなら美味しいカレーを作ってみろ、という要らぬお世話を焼くのでした。 冒頭の発言は趣味というものの本質をよく表しています。 女性が家事として料理をする場合、家計を第一に考えてしまいがちですし、忙しければ手間がかからないことを優先するでしょう。 また飲食の仕事なら、材料費は価格の30%に抑えようとするでしょうし、できるだけ効率よく仕事を進めようとするのが当然です。 それが、趣味のとしての男の料理であるなら、おいしいためには材料に糸目は付けないし、手間だってかけてしまう。 結果、男料理はうまい、となる。こんな理屈ですね。 お話し変わって、風景写真の第一人者が語ったことです。 「風景写真でプロはアマチュアには勝てないよ。まったく採算を考える必要がないからね。 風景写真の場合、天気次第ということになる。 アマチュアはいくらでもよい条件を待っていられるし、失敗しても何度でも来て撮影機会を待てばいい。 でもさプロはそういうわけにはいかないよ、取材費も納期も決まっているから与えられた条件の範囲で頑張るしかない。」 つまるところ、素人の趣味は採算とは無関係だからいい写真が撮れる、といいたいのです。 なぜ、こんなことを書くかというと、最近アマチュアの趣味がプロの仕事の領域を犯しているからです。 アマチュアの風景カメラマンが趣味で撮影した写真がストックフォトで販売されるようになり、プロの撮ったストックフォトに影響が出ています。 趣味のものですから、元々お金にすることは考えていなかったものです。 それが安価であってもお金になるなら、小遣い稼ぎとしては悪くありません。 この安価で販売される、採算を無視した良質のコンテンツがプロの仕事を苦しめるのです。 料理も同じことが起こりうるかもしれませんね。 もちろん業として行うには調理師免許もいるし届出も必要ですが、友人をもてなすだけとなるとセーフでしょうね。 そこで、材料費が60%になって時間をかけようが趣味の延長であれば、やる方はいるんじゃないでしょうか。 料理を振る舞うことが大好きで、楽しくてたまらない。お金は材料代負担してくれれば構わないという人です。 これって民泊と同じ理屈ですね。 もちろん民泊は趣味ではありませんが、業として行うのではなく、個人が個人をもてなすという行為の延長にあります。 まあ趣味の延長みたいなものです。 この民泊によって、既存の旅館、ホテルが影響を受けているのは先のブログでも書きました。 ドライブが好きだ、運転が好きだ。趣味のドライブの延長で白タクをやってしまおうと考える人もいるでしょう。 つまり、アマチュアの趣味がプロの仕事を奪ってゆくことが増えるのではないか、ということです。 旅行のツアーガイドなんかもそうでしょうし、趣味の延長で家事代行ということもあり得ますね。 この趣味の延長ビジネス、いろんな方面で出てきそうです。要注目。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-31 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 28日
![]() 興味深い番組でした。ご覧になりましたか? そのなかでシェリングエコノミーの代表とでもいうべきairbnb(エアビ―アンドビー、略称エアビ)が取り上げられていました。 フランス・パリでは旅行者の多くがエアビを使い、安い、便利だと高い評価を与えていました。 その一方で既存のホテルはお客が減少し、取り上げられていたホテルでは売上が20%減となり、長年勤めた従業員2名を解雇せざるを得なかったと嘆いていました。 半年前の日経新聞にパリのホテル業界の人が来日し、エアビの影響でパリの小さなホテルの60%が廃業に追い込まれた、日本でも同じことが起こりうるから、絶対に進出を阻止せよと語ったと報じられていました。 私は年齢のせいか、守旧派というかアナログ派ですので、既存ビジネスで生計を立てている人と家族のことを思うと、この方のいうことも一理あると思いました。 既得権にしがみつくと批判されようが、その既得権で暮らしを立てている人のことも考えなければならないのではないか、という立場です。 しかし、エアビのことを調べてみると、実に魅力的です。機会があれば利用したいと思うようになりました。 価格は圧倒的に安いし、インテリアも魅力的な物件があるし、それに望めば地元の人とも交流が深めることができます。 宿泊者からすれば、既存のホテルや旅館を使わなくなってゆくのも無理ないと思うようになりました。 使わないというのは極論ですが、エアビの民泊の方に魅力を感じる人は多いでしょう。 もちろん、富裕層が泊まる旅館、ホテルは価値を保つでしょうが、低予算で旅行を楽しみたいという層は民泊に流れるのは仕方ありませんね。 これからはホテル、旅館を利用するというのは、民泊を知らなかったり、ITリテラシーのない人ということになるのでしょう。 残念ながら、既存のホテル、旅館では民泊に価格では対抗しようがありません。 なぜならエアビとは投資金額がまったく違うからです。 エアビでは自分の家やマンションを利用するわけですから施設の建設にお金をかける必要がありません。 おまけに管理、運営をオーナー自らすれば従業員を雇うことも必要ありません。 コストがまったく異なるのですから、競争になりません。 ビジネスの仕組みが違うわけですから、現在のままでは競い合うことは無理ですね。 安くて便利なものに顧客が集まるのは市場原理に合致します。 残念ですが日本のホテル、旅館もパリと同様の推移を辿ることになり、、数年後には半減するのでしょう。 気の毒とは思いますが、時代の流れで仕方のないことのようです。 京都に出張に行くたびに、あまり裕福ではなさそうな海外旅行客の増加に驚いていましたが、この方たちがエアビを利用しているんですね。 関空を利用するLCCと民泊で関西のインバウンド需要は大きくなってきているのでしょう。 エアビによって、既存のホテル、旅館の衰退に反比例するように新しい事業主が増えてきました。 経済学者のシュンペーターがいう、創造的破壊とはこういうことなのでしょう。 既存の古いビジネスは破壊され、新しいビジネスが構築される。 そのひとつの例とということなのでしょうね。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-28 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 24日
![]() ミュージシャンが連名で転売拒否の意見広告を新聞に載せたことは記憶に新しいです。 NHKのクローズアップ現代+でも10月12日に取り上げられました。 CDの売上は落ちる一方なのに、ライブはチケットが高額で売買(いや取引ですね)されるくらいの人気です。 大騒ぎになるくらい、転売で稼ぐマーケットが大きくなっています。 消費がモノからコトへと変わってゆく象徴なのだと感慨深いです。 写真業界もモノとしての写真を販売するのではなくて、コトとして写真で儲ける手段を探すべきですね。 また余談でした。 このチケットの転売問題、考えてみるとけっこう難しい問題ですね。先ずは法的な面から考えます。 明らかに商売として行っているのであれば古物営業法に違反となるようです。 街にある金券ショップは転売が仕事ですが、彼らは古物商として都道府県委員会の許可を得ています。 個人が営利目的ではない範囲で行うのであればセーフのようで、転売で稼いでいる人は営利目的ではないと言い張るようです。 定価の10倍以上での転売は営利目的とは思いますが、今は見逃されているようです? 次ぎは契約の側面から考えてみます。 通常チケットには転売禁止と記載されていますし、ウェブサイトでも告知されていますから、転売行為は契約違反となります。 チケットを購入することは、主催者と契約関係にあるとされますから、これは当然でしょう。 厳しく適用して、転売されたチケットで入場不可としされても文句は言えませんね。 もうひとつ考えられるのはダフ屋と同じではないかということです。 ダフ屋は都道府県が定める迷惑条例に違反するとされています。 ネットだから許されるということはならないとは思います。 法的にはかなりグレーな行為とは思いますが、ネット上での著作権侵害と同じく、摘発するほどの被害が発生しているほどではない、という判断なのでしょうね。 では、商売、経済的行為としてはどうでしょうね。 チケットの転売は定価で仕入れたものを、プレミアム分を乗せて再販売する。いわばブローカーです。 これが認められないではあれば、世にたくさんある小売りもダメということになります。 100円で仕入れたものを200円で売ろうが1000円で売ろうが、買う側が納得して買うのであれば通常の商行為としてなんの問題もありません。 いくらで販売しようが裁量の範囲として認められるものだと思います。 大量のチケットを独占的地位を利用して買い占めているのではなく、ネットリテラシーを駆使して入手しているのですから、仕入れがうまいだけで非難される筋合いではないようにも思えます。 価格は需要曲線と供給曲線が交わった点であると経済学で最初にならいます。 そうであるなら、チケットの転売マーケットは需要に比べて供給が少ないために、価格は上昇するということになります。 ですから、市場原理に任せておけば、チケットの価格が高騰するのは当たり前です。 そういうマーケットで自分の裁量で利益を稼ぐことは非難に当たらないでしょう。 では、転売の何が問題なのかというと、熱心なファンにチケットが渡らない、主催者でもファンでもない人がチケットがずるいことして儲けていることです。 上記のような、このような非難は道徳的にどうかと問われているのですね。 ファンでもない人が、ずるいことして儲けているのは許せない、ということです。 さて、この問題はどのように解決されてゆくのでしょうね。 テクノロジーを駆使して転売できない仕組みが普及するのか、法律を制定するのか、すべてオークションでの落札というような市場原理にまかせるのか、さまざなソリューションが考えられます。 ただし一つ言えるのは、意見広告を出すなどして、人の善意に期待するような甘いことではなんともならないでしょうね。強制力を持つ対策が望まれます。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-24 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 21日
![]() どうしても目が留まってしまうのは、下世話だと思いながらも、クライアントとのやりとりですね。 最近多いのは、とんでもなく安い価格を提示されて怒り心頭というものです。 デザインとかイラストの制作は相場というものがあるようでありません。 価格は交渉次第ですが、とんでもない価格をオファーされるクリエーターが後を絶ちません。 こんな投稿がありました。 あるイラストレーターに10カット描いて欲しいと依頼がありました。 小さなカットイラストではなく、1ページを使うくらいの大きさのもの。単価は2000円だといいます。 プロはこんな価格では請けないので、ご自身でお描きになればと、やんわりと断わりました。 すると依頼してきた人は自分では描けないし、仮に描けるようになるまでは長い修錬が必要でしょうと答えました。 つまり、依頼した人もお金を払うに価するイラストを描くことの価値は分かっているのです。 しかし、それが他人への支払いとなると極端な安値でお願いするということです。 残念なことに、同じようなに安い価格でのコンテンツ制作依頼のお話しをあちこちで耳にします。 時給換算すれば、コンビニでのアルバイトのほうがずっと割がイイという仕事を、プロにしてもらおうとするのです。 10年間イラストを描いて生計を立てていくことは本当に大変です。 そもそもクラスで一番絵が上手だったくらいの才能ではプロになることは無理です。 絵の上手な人間が美術大やら専門学校に進学し、卒業生のなかのほんの一握りがプロになるくらいです。 そして毎日々々イラストを描いて修錬を重ねるわけです。 こうした人が、誰でもできるアルバイトの時給と同じなわけがありません。 絵1枚を2時間で描くなら、時給1000円で2000円とはなりません。 修錬の時間だけでなく、なんらかのイラストを描こうと思えば、なんらか参考になる資料なり情報が必要となります。 何も参考にせず、サラッと描けてしまうことはありません。 こういう時間も必要になります。 つまり、ページ全面で使われるようなイラストなら最低でも数万円はかかるのが当たり前なのです。 残念ながら、この当たり前が通用しないケースが増えていることが問題だと思います。 もう少しプロの仕事の価値を尊重してもらいたいものです。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-21 09:30
| ストックフォト
2016年 10月 17日
![]() SNSでの炎上狙いでしょうか?なんとも刺激的なタイトル名です。 著者が、あのホリエモンなだけに話題を呼ぶのも当たり前でしょう。 炎上させれば話題が話題を呼んで売上もさらに上がりそうです。 こういうネットでのビジネス手法を、リアルな出版に持ち込むというマーケティング手法を計算しているのでしょう。 それでは、中身はどんなものかというと、さほど驚くようなことが書いてあるわけではなく、まともなものばかりです。 別段目新しいことはなく、いつも通りの内容らしいです。(すみません。彼の熱心な読書ではないので伝聞です。) 私流に表現するならこんな具合です。 現在のグローバル化された環境においては会社という組織にとらわれる必要はない、起業することを勧める。 古い因習にとらわれず、合理的に考えれば本書にあるような結論になる。 このことを自らの体験を通して語っているのが本書です。 出版社からの案内はこちら。 http://best-times.jp/articles/-/2433 シリコンバレーのITベンチャーの価値観や行動をそのまま受け継いでいますね。 そうしたシリコンバレー流ビジネスと比較して、いかに日本の会社が遅れているかとあおっているように思えます。 新自由主義、市場原理主義、ネオリベラリズムの信奉者と規定すれば理解が容易なのでしょう。 読み物としては、大変興味深く読めました。 このような自己啓発本を私もけっこう読みますが、正直なところ読むだけです。 啓発されて行動を起こすことは滅多にありません。 そうなると仕事に役立たせるつもりではなく、たんなる読書、つまり趣味の一環でしかありません。 楽しみに読むとなると面白いか、面白くないかということが大切になってきます。 また話題かどうか、他の人に喋って楽しいかということも大切です。 つまりエンターテイメントとしか考えていないということです。 私のような読者が大多数でしょうね。 なぜ行動を起こさないのか? 書かれてることを実践するには並外れた能力が必要で私にはできない、と言い訳する人が多いでしょう。 それに対して、著者は著者だからできるのではない、誰だってできると言います。 私は誰でもできるわけがないと思います。 彼が、本書のなかで述べている月20万や30万円の給料を払わなくてはならないことが理解できないと評価していた社員では、とてもできないでしょう。 でも世の多くの人はこのレベルの労働者です。彼からすればバカばかりでしょう。 ホリエモンだけができるわけではないが、できる人間は一握りの優秀な人間だけ。それが私の見立てです。 彼を取り巻く人も、世間一般からすれば優秀な人間ばかりでしょう。 そういう人間にとっては、チャンスはころがっているのかもしれません。 ただし、そうでない人間にとっては、リスクをとって起業するより、会社にぶら下がっているほうが賢明です。 誰でもできる、なんてことは絶対にありません。 特別な人間でなくてもできるかもしれないが、できる人間は限られています。 リスクを取ることができるのも、ある程度の才能があるからです。 リスクを取らずに組織にしがみつくのも、ひとつの生き方として尊重されるべきでしょう。 すみません。本の紹介になっていません。私見を述べただけになってしまいました。ご容赦ください。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-17 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 14日
![]() 皮肉屋の先輩らしい、シニカルな箴言ですが、うまいこと言わはると感心しました。 元ネタはGHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーの「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」です。 政治家が引退する時に、好んで使う言葉ですが、後のことはごちゃごちゃ言わずに黙って去る、という潔さを示しているそうです。と聞きかじり。 先輩の言葉は、年をとって嫌がられてもしぶとく生き抜いてやる、という決意と現代の情勢を短い言葉で表して秀逸です。 先日、日経新聞の記事にこんなことが載っていました。 日本人の60歳から64歳までの就業率は60%を超えている。男性ではおおよそ4人に3人は働いている。 これは他の国と比較すると異常に高い数値です。欧米では、この年齢で働いているのは20%前後らしいです。 お隣の韓国では、ようやく定年が60歳に引き上がられたばかりで、一昨年までは55歳が定年でした。 ですから、60歳から64歳で働いている人は少ないということになります。 日本では年金の支給年齢を引き上げが予定されていることもあり、60歳でリタイアする人は少ないですね。 60歳を迎えた前職の同僚の多くはそのままの職場、そのままの仕事で再雇用を選びます。日経の記事と同じく4分の3は働くのでしょう。 再雇用を選ぶ理由はさまざまですが、無職ではヒマをもてあそんでしまう、という人が多いように思います。 もちろん、税金分くらい稼がにゃ、とかまだローンも残っている、子どもにもお金がかかるという経済的理由の人もいますが、元気なのにすることがないことは困ります。 高年齢まで働くことは社会保障の面から考えると望ましいのかもしれませんが、職場では歓迎されるのでしょうか。 年寄りが頑張れば、若者の雇用機会を奪うことにもなりそうですし、職場にいつまでもしがみついていては、若い同僚は煙たがるでしょうね。会社にとっては、いいことばかりではありません。 先輩の言葉は、若い人の迷惑になるかもしれないが、そんなことは構わない、自分の居場所を確保して頑張る、という宣言でもあります。 頼もしい。 仕事にしがみつくのも、あっさり引退するのも本人の勝手です。 偏屈と言われようが、頑固爺と呼ばれようが、そんなことは知らない、はびこってみせるという元気宣言に聞こえてしまいました。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-14 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 11日
![]() 通勤電車で未だにガラケーを使っている人を見かけますが、周囲はほとんどがスマホ派です。 ケータイからスマホへの推移は時代の流れだと思いますが、ケータイビジネスを生業(なりわい)としているところにとっては大変なことでしたね。 影響を受けたのは携帯電話のメーカーだけでなく、携帯向けのサービスを提供している企業も含まれます。 コンテンツプロバイダーも、配信会社も急激なマーケットの縮小に直面して苦労することになります。 先月末、ケータイ向けコンテンツの配信で一時代を築いた名古屋の銀河工房が破産しました。 管財人からの手紙には、多額の借入金がかさみと理由が述べられています。 残念としか言いようがありません。 このケータイ向けコンテンツマーケット、全盛期にはストックフォト業界にも多大な利益をもたらしてくれました。 待ち受け画面にストックフォトが利用されると、初期には1枚5万円くらいでした。 企業が宣伝で待ち受け画面の配信サービスをすると、まとめて何十枚も利用していただき結構な売上があったこともあります。 子犬や子ねこの写真を月替わりで待ち受け画面で利用するサービスもコンスタントに売上を稼いでくれました。 待ち受け画面をカスタマイズするきせかえツールなどというサービスもありました。(現在も一部残っているようです。) 画像だけでなく、着メロだとか着ウタとかの音源も利用されていましたね。 こうした携帯電話をターゲットとしたコンテンツを制作していた会社はたくさんありました。 銀河工房だけでなく、私が知らないうちに姿を消していった企業もあるのでしょう。 携帯コンテンツの配信サービスを行っている社長から聞いたことを思い出しました。 「この商売はホント怖いですよ。街のラーメン屋なら売上が下がるっていっても、先月から10%減った、また今月も5%減ったっていうように徐々に減ってくじゃないですか。携帯コンテンツは携帯電話の機種が変われば、ある日から突然ゼロ。廃止になればサービスも終了、マーケットが消滅するんですから。」 急激すぎるマーケットの変化についてゆくのは容易なことではないということです。 もちろんマーケットがなくなるのをボーっとしているわけではありません。 スマホ向けの企画を考えて、サービスを投入しますが、ケータイでのビジネスがそのまま通用することはありません。 ケータイで行っていたようなサービスは、スマホでは無償で受けられるか、大幅な価格下落となってしまいます。 一例です。 ケータイの待ち受け画面で儲けていたところは、スマホならライブ壁紙だとターゲットを変えました。 ところが、ライブ壁紙のマーケットは立ち上がりません。 メニュー画面をお金をかけてカスタマイズするということがなくなってしまうのです。 つまるところ、ケータイマーケットの消滅です。 どんな商売もスクラップアンドビルド、それを繰り返しながら社会は発展してゆくものでしょう。 そういう意味では、ケータイ向けコンテンツの配信サービスの会社が淘汰されるのも自然なことかもしれません。 しかし、全体からみて仕方のないことであっても、当人および関わった人にとっては重大なことです。 寂しいお話しでした。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-11 09:30
| 神楽坂日記
2016年 10月 07日
![]() こちらです。 http://www.j-cast.com/2016/09/26279032.html この「いらすとや」のイラストはよく見かけます。 近所の公共施設のポスターは、かならず利用されていて、正直なところ少し不快な気分になります。 なにが不快な気分にさせるのか、というとこの記事のタイトルとおりに、仕事を奪っているからです。 仕事を奪っているという大げさですが、少なくともストックイラストの販売機会を少なくしていることは間違いありません。 イラストにもさまざまなジャンルがありますが、この「いらすとや」のイラストは“作品”ではなく、用途をできるだけ広く、使い勝手のよいストックイラストとして販売されるべきものです。 まあ、“べき”といった私が言ったところで、自分の著作物をどのように扱おうが著作者の勝手ですが。 「いらすとや」のイラストはタッチにくせがなく、使いやすいものです。 誤解されているようですが、プロとのイラストとして十分なクオリティーがあるからこそ、これだけ広範囲に使われるのです。 無償で入手できるイラストはいくらでもありますが、アマチュアの描いた作品はさほど使われることはありません。 無償だから使われているのではなく、十分な品質で使いやすい、しかも無償だから使われているのです。 「いらすとや」はいわゆるタッチ見本として無償で提供して、描き起こしのお仕事を得ることを目的としているようです。 無償で配布するイラストはまき餌として使っているわけです。この行為に、法的な問題はまったくありません。 困るのは、「いらすとや」のようなカットイラストを販売しているエージェンシーやイラストレーターです。 販売の機会を奪われているだけでなく、そもそもイラストとは無償であると使う人に認識されてしまい、イラストの相場が下がってしまうことです。 1カット2万円から3万円が通り相場だったものが、無償でいくらでも入手できるんだ5千円で十分だろう、というように思われたり、価格交渉の材料に使われてしまうからです。 このように書くと、既得権にしがみつく古い体質と批判されることになります。 「いらすとや」のイラストにはないジャンルのものを作ればよい、クオリティーで圧倒的に差があるもので差別化を図れ。 こういう意見があります。 まったくの正論ですが、仕事を奪われる当事者にとっては、口では何とでも言えるけど、実際に困るんだ、というのが本音です。 イラストに限らず写真、文章などの著作物がネットで無償で配布されるようになってから、このような問題は次々に発生します。 コンテンツは無償であることを前提をビジネスを考えなければならない。 これが結論なのですが、そのソリューションというか解決策が見つからないのが現状です。 いやー、無償のコンテンツに対抗することは難しいですね。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-07 09:30
| ストックフォト
2016年 10月 03日
![]() この手のサービスに疎い私は、docomo、ソフトバンク、auの3大キャリア以外に興味を持ったことがありませんが、コスト意識の強い弊社社員は格安スマホに惹かれたようです。 格安スマホと聞くと、安かろう悪かろうと思ってしまいますが、これは偏見のようです。 弊社社員から聞いた評価は、使用するうえでなんの問題もない、というものです。 ソフトバンクからの乗り換えですが、通信速度はフリーテルのほうが早いと言っています。 月の支払いが7000円から2500円になったと大喜びです。家族も乗り換えました。 冒頭に聞き慣れないと書きましたが、昨今はテレビコマーシャルを流していますし、ヨドバシカメラの店頭では大手3社にひけを取らない存在感を示しています。普及期に入っているんですね。メジャーまでもう少しって感じです。 先月20日の日経新聞に「ヒットのなぜ」というコーナーで大きく取り上げられていました。 読んだ方も多いと思いますが、寡占状態の業界で新興のベンチャーがどのように商機を見出していったか、ということが書かれています。 独特の商習慣があって通信料が高いのが日本、そこに低価格の端末と通信料で参入すれば商機があるとよんだ、とあります。 なるほど。しかし、これは通信業界のことだけではないな、と思いました。 日本のマーケットは、独特の商習慣がどの業界にもあり、価格は世界標準から外れて高止まりし、力のある数社でシェアを分け合っています。 そこに圧倒的な低価格で、しかも品質は厳しい日本人にも納得してもらえるレベルで参入することが、新興ベンチャーにとっては肝なのですね。 勉強になります。 携帯大手の乗り換えが加速、と見出しにあります。 ここまで書きながら、なんだ自分の属する業界だって同じことではないか、と気づきました。 携帯大手のシェアを奪って、売上を伸ばす格安スマホ。 従来ストックフォトのシェアを奪って、売上を伸ばすマイクロストック。 業界の規模も商材も違うけど、ビジネスモデルは同じようなものです。 社長の話しとして紹介されているのが、前職でつかんだ顧客の声を生かす、という姿勢。 この考えはスマホ業界だけでなく、どの業界でも通用するでしょうね。 ユーザーの不満の声を拾って、それを解決するような商材を提供するということです。 さて、この躍進する格安スマホに対して、携帯大手はどんな対抗策を打ち出すのでしょうね。 格安スマホ市場の伸びが鈍化したときが見ものでしょう。 翻って、私の属する業界も新旧それぞれに対抗策と伸張策を立てて実行しなくてはなりません。 他人事のようにいってますが、さて弊社はどうしようかな。 #
by mixa_suwa
| 2016-10-03 09:30
| 神楽坂日記
2016年 09月 30日
![]() 「…気鋭の文化人類学者があきらかにする、Living for Todayという生き方」という帯のキャッチに惹かれませんか? Living for Today なんのこっちゃ?私なりに表現するとこうです。 明後日のことより、今日生き残ることが大切だ。 計画的な暮らしよりも、場当たり的な「その日暮し」こそが人間が輝く。 将来のために今を犠牲にしない。 現代の日本人とは明らかに異なるもうひとつの価値観のことです。 インフォーマル経済と呼ばれるGDPなどの統計からははじかれる発展途上国のビジネス、商売、いや小商いという表現がピッタリです、を現地に赴き調査した報告書が本書となります。 出版社からの案内はこちら。 http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039325 著者が調査した仕事を気軽に転々とするアフリカ都市民の暮らしは、 ・失敗しても、誰かの稼ぎで食いつなぐ ・最小限の努力で生きる ・借金を返さなくてもよい仕組み ・法的には違法、でも社会的には許される商売 とまとめられています。 箇条書きにしても、楽しさが伝わります。 おもしろいところに目を付けたなあ、若ければ自分で調べたかったなあと嫉妬しました。 学生時代に探検部に入っていたので文化人類学は少しだけかじりました。それに経済学徒でもありました。 当時の調査の対象は、いわゆる未開の民族の生態で、発展途上国の経済行動を人類学の視点で調べてみるということは考えもつきません。 経済学徒として、なんの役にも立たない社会主義経済を勉強するくらいなら、フィールドワークとして体験してみたかったです。 そうすれば、インドやフィリピンで出会うだらだらして一日を過ごし、まともに働かない男性を見て腹を立てることもなかったでしょう。 こういう生き方だって、こういう状況ではありうるのだ、と理解できたでしょうね。 すみません。いつものように個人的な感想でした。 この書は本当におもしろいのですが、欠点は文章が硬過ぎることです。 本人も学術論文しか書いたことがなかったので、と言い訳をしていますがエンターテイメントとして読書をしている人にはチトつらいです。 ネタは抜群におもしろいので、もう少しサービス精神を発揮すれば爆笑本にでもなったのに、と残念です。 マジメな学者さんだから仕方ないのかもしれませんね。 しかし、その欠点を差し引いても十分におもしろいです。 たしかに、自分たちの持つ価値観を揺さぶってくれます。 #
by mixa_suwa
| 2016-09-30 09:30
| 神楽坂日記
|
ファン申請 |
||